塩ビ被覆電線のリサイクルで新たな試み
銅線、ポリエチレンが残っても床材に再生可能。VECと大阪ヒューズが共同研究
この技術を塩ビ電線被覆材のリサイクルに応用しようというのが、現在進められているVECとの共同研究の目的です。 研究では自動車のワイヤーハーネスのリサイクルもテーマのひとつになっていますが、最大のテーマはいちばん難しい電線被覆材のリサイクルが可能かどうかという点にかかっています。 塩ビ電線被覆材のリサイクル率は全国平均で40%を超えていますが、口径の細い電線は銅線やポリエチレン被覆との分離がしにくく、いろいろな技術が試みられているものの、現在以上に分離精度を高めるのは困難な状況です。商品価値が高く徹底した分離が行われている銅線も、回収率98%が限界で、2%程度は異物として被覆材に混入することが避けられません。 このため、残留銅分やポリエチレンが残ったままペレット化して床材にリサイクルする今回の試みが成功すれば、塩ビ被覆電線の更なるリサイクルの推進とコスト低減に大きな可能性が開けることとなります。 現時点では、千葉県の電線リサイクル会社・ウスイ金属(株)(本誌第37号参照)の協力を得て、同社で粉砕湿式分離した使用済み電線被覆材(塩ビ含有率98%、ポリエチレン1.5%、残留銅分0.5%)を用いてテストが行われており、期待どおりの成果が確認されています。最終的には湿式分離前の塩ビ60〜65%のものをダイレクトにペレット化してバージンと同等程度の再生品を製造することが目標で、間もなくその実験が開始される予定です。
塩ビ電線被覆材をリサイクルしたハイキレスシートのモニターが行われている日高カントリー倶楽部(埼玉県日高市)を訪ね、高橋功理事にこれまでの感触を伺いました。 高橋理事から「キャディー室の外階段、約20平方メートルに敷設しているが、掃除しやすく使いやすい点は評価できる。雨の日や冬場の凍結時に滑りやすくなる点が心配されるが、戸外で使用するなら表面加工を改良して、透水性あるいは防滑性を高めれば用途が広がるだろう」とアドバイスをいただきました。