同和クリーンテックス(株)の廃棄物処理事業
廃プラは石油の代替燃料。塩ビを含む廃プラを3段階焼却システムで完全処理
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今回訪れたのは、秋田県の廃棄物中間処理業者・同和クリーンテックス(株)(秋田県大館市花岡町字堤沢42/TEL.0186―46―1436)。塩ビを含む廃プラスチックを「石油の代替燃料」と積極的に評価する同社の、3段階完全焼却システムに注目―― |
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■ 同和鉱業グループの中核企業
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同和クリーンテックスは非鉄製錬メーカー・同和鉱業(株)のグループ企業で、以前に本シリーズで取り上げた岡山県の同和クリーンワークス(同和鉱業の直営)や福岡県の光和精鉱(株)、さらには昨年7月に買収した千葉県袖ケ浦市の日本パール(株)などと並び、廃棄物・環境ビジネスを「21世紀の柱」に位置づける同和鉱業グループの中核企業のひとつです。
「もともと同和鉱業は花岡で鉱山事業を営んでいたが、円高の影響などで鉱山を合理化する必要に迫られたことから、土地など豊富な経営資源を活用した事業へ路線の転換を検討。その結果、環境事業の将来性に着目し、岡山(岡山鉱油、同和クリーンワークスの前身)で先行スタートしていた廃棄物の中間処理業を花岡でも実施することになった」(同和クリーンテックスの山口潔実社長)。
同社の設立は昭和62年2月。この年には、後で詳しく触れる花岡鉱業(株)の最終処分場も建設されており、同和グループが本来の動脈産業から「国内最大の廃棄物処理事業者」へと事業の幅を広げる上で大きな節目になったと言えます。
同和クリーンテックスでは現在、産業廃棄物や一般廃棄物の中間処理(焼却)のほか、銅をはじめとする非鉄金属のリサイクル、フロンの破壊処理などを主な業務としていますが、本稿では、塩ビ業界にとって最も関心の深いテーマであるプラスチック廃棄物の中間処理を中心に、事業の現状を見ていくこととします。
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■ 年7,000トン分の石油を廃プラでカバー
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同和クリーンテックスが中間処理を行っている廃棄物は、廃プラスチック・汚泥類などの固形物のほか、廃油、廃液(廃酸、廃アルカリ)などが中心で、処理量はトータルで1ヵ月約7,600トン。
焼却炉は、昭和63年に建設した1号炉(処理量1,600トン/月)と、平成3年12月に完成したロータリーキルン方式の2号炉(同6,000トン/月)の2ラインが稼働しています。
プラスチック廃棄物の処理量は約1,200トンで、この中には、大館市など1市2町の家庭から分別された一般廃棄物系のプラスチック類も含まれますが、これは、ダイオキシン対策などの関係で自治体の焼却炉の負荷を下げる必要から同社が受託処理しているものです。
プラスチック廃棄物のうち、塩ビ系の割合は推定でほぼ3割程度で、主な塩ビ製品としては、一廃系では洗剤や化粧品の容器など、また、産廃系では廃電線、塩ビレザーなどのほか、農業用ビニルの受け入れも行っていますが、農ビの量はまだそれほど多くないということです。
このように、同和クリーンテックスが扱う廃プラスチック類は比較的塩ビ濃度の高い組成と言えますが、後述するような徹底した運転管理と完全焼却により問題なく処理が行われています。
また、プラスチック廃棄物を「処理対象物ではなく、あくまで石油の代替燃料」と積極的に位置づけているのも同和鉱業グループ全体に共通する考え方で、山口社長の説明では、
「当社では廃プラスチックを、ロータリーキルンで汚泥等の固形物を処理する際の助燃剤として利用している。(油化などと異なって)外からは分かりにくいかもしれないが、これもプラスチックのリサイクルのひとつです。現状では、石油に換算して1ヵ月当たり600〜800トン(年間約7,000トン)分をプラスチックでカバーできるが、プラスチックの処理能力をさらに300トン程度アップする計画で現在システムの改造工事を進めており、これが完成すると月80トン程度の石油の節約増が見込める」とのことです。 |
■ ダイオキシン対策を最優先
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図2は2号炉の処理工程を表したもの。焼却は、ロータリーキルン(燃焼最高温度1,200℃)〜廃液処理を行う二次燃焼炉(同800℃)〜燃え残りの成分を完全燃焼する三次燃焼炉(同830℃)まで、三段階で行われます。
キルン内で発生する高温(約1,200℃)の排ガスは、廃液処理の熱エネルギーとして活用されるためいったん温度が低下しますが、三次燃焼炉では廃油を助燃剤として投入することにより再び830℃まで引き上げられます。
三次燃焼の後、排ガスは0.1秒以下という速度で一気に80℃まで急冷され、苛性ソーダによる洗浄、ミストコットレル(電気集塵機)を経て大気中に放出されます。また、二次燃焼炉から出る焼却灰は無害化して、隣接する花岡鉱業の管理型最終処分場に搬送されます。
以上を見ると、同社の焼却設備がダイオキシン対策を最優先に構成されていることが分かります。
「当社ではボイラーによる熱エネルギーの回収は実施していないが、これはダイオキシンの合成防止を第1に考えて、燃焼温度を常に800℃以上に維持するシステムを取っているためです。熱回収は温度が下がる過程でダイオキシンが合成される恐れがあり、ダイオキシン対策とは裏腹の関係にある。当社の分析では、排ガス中のダイオキシン濃度は約0.1ナノグラムと、来年12月に実施される国のダイオキシン規制値の10分の1をクリアしている」(山口社長)。
なお、同和クリーンテックスでは平成11年の5月にISO14001の認証を取得しており、このことからも同社の環境マネジメントシステムの確かさを知ることができます。
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■ 「大きな環境システム」の一部
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同和クリーンテックスの特色を理解する上で見逃せないのが、グループ企業との連携による一貫処理体制の構築です。
特に、管理型最終処分場を運営する花岡鉱業と、家電リサイクルの(株)エコリサイクルの2社は、ともに同和クリーンテックスと同じ敷地内に隣接して設けられており、お互いの事業を補足し合う重要な関係を形成しています。
このうち、粘土質の土壌が「天然の遮水シート」の役割を果たしているという花岡鉱業の最終処分場は、鉱山の露天掘り跡地を転用したもので、埋立総容量およそ200万立方メートル、現在の残容量は約100万立方メートルで、「あと10年以上は利用できる」広さを有しています。同和クリーンテックスの焼却灰がここで処分されるのは前述したとおりで、「中間処理施設と最終処分場がこれだけ接近しているのは全国でも極めて珍しい事例」(山口社長)と言えます。
一方、(株)エコリサイクルは平成11年7月、同和鉱業の100%子会社として設立された家電リサイクルの本格的施設で、ここで分解、破砕された使用済み家電製品やOA機器の残渣、廃プラスチック、廃電線、断熱フロンを含むすべてのフロンなどは同和クリーンテックスで焼却処理され、燃え残った銅などの非鉄金属は、同じくグループ企業の小坂製錬に送られて製錬の原料として再利用されています。
同和クリーンテックスの廃棄物処理事業の特質は、グループ企業の連携で形成される「ひとつの大きな環境システム」の一部として捉えることで、より明確に見えてくるようです。 |
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