ビニループ・プロセスの特徴をまとめてみると次のとおり。
- 廃棄物の組成を問わず処理できる
- 再生塩ビの粒子のサイズと組成が均一化されている
- 新品と同等の塩ビコンパウンドが得られる
- 添加剤を加えることができる
- 塩ビコンパウンドを再生前と同じ用途に使用できる
- 塩ビの回収ロス(他の素材の中に残る分)は2%以下
一方、ソルベイ社では今後の技術的な課題についても率直に情報を開示しています。
「再生された塩ビコンパウンドが再生前と同一の組成を持つため、重金属類や顔料などもそのまま残ってしまう。特に顔料の問題は、複数の色を使った塩ビ製品を処理した場合、再生塩ビの色が黒ずんで商品価値を低下させてしまうという影響があり、解決が急がれる。重金属類や顔料の除去については現在研究を継続しているところだ」
● 進む、海外での事業展開
ソルベイ社がビニループの開発に着手したのは97年の12月。以後、98年11月に小型のパイロットプラントをブリュッセルの研究所に建設して各種の試験を重ねた末、2000年7月には、イタリア北部の都市フェラーラに電線リサイクルのためのジョイントベンチャーを立ち上げ、年間1万トン(再生塩ビ8,500トン)規模の処理を行う商用プラントを今年の11月から稼働させる計画で、施設の建設を進めています。
このほか、カナダのケベック州でもプラスチックリサイクル会社とのジョイントで年1万〜1万5,000トン規模の施設を建設する計画が進行中で、クルーシフィックス氏は、「埋立地に十分な余裕があり敢えてリサイクルの必要に迫られていない北米でこうしたプロジェクトが実現していることからも、ビニループが経済的にメリットをもたらす技術であることが証明できる。我々は再生塩ビの販売価格をバージン価格の70〜80%に設定しておりカラーリング上の弱点はあるものの、バージンと同等の物性を持つことで十分競合できるものと考えている」と自信をのぞかせています。
また、日本においても、今後設備の建設や技術ライセンスを含め積極的に事業展開していく計画で、「ジョイントベンチャーのパートナーを見つけ、できるだけ早い時期に商用のパイロットプラントを建設したい」としています。