牛田工場長に、開発に取り組んだ経緯と事業の全体的な構想について説明してもらいました。
「当社では、10年ほど前からコークスそのものより副産物であるガスの発生原単位を高める研究をして来た。その過程でプラスチックを炉に入れることにより質の良いガスを得られることがわかった。ただ、塩ビを燃やす場合は塩化水素を処理する必要がある。そこで脱塩化水素技術と回収塩酸のリサイクルについての研究に取り組むことになった。この事業のポイントは、第1に農ビや農ポリの処理事業として有望であること、第2に回収塩酸は新日鐵構内で、鐵原が設備を持っている酸洗(錆落とし)後の塩酸回収設備で利用することが出来ること、第3に炭化物はストーカー式ボイラー等の石炭代替燃料や原料として自社利用や販売が出来ることである」。
北海道の環境廃棄物対策課などが行った調査によると、道内で1年間に発生する使用済み農業用プラスチックの量はおよそ2万トン(塩ビとポリが1万トンずつ)となっていますが、リサイクルされているのは17%程度で、残りはほとんど埋め立て処分されているのが実状。鐡原のリサイクルシステムが実用化されれば、農ビの処理に悩む農家にとっては大きな福音となります。
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