2000年12月 No.35
 

 「第9回塩ビ世界会議」(横浜)

  21カ国102名が参加。塩ビのリサイクル・環境活動、安全性などで情報交換

    第9回塩ビ世界会議(GVC2000)が10月11日〜12日の2日間、横浜シンポジアで開催されました(主催=塩ビ工業・環境協会:VEC)。GVCの日本開催はこれが3回目。会議では、世界各国の塩ビのリサイクルや環境活動の現状、安全性の研究データや塩ビの有効利用などについて情報交換が行われ、多くの成果を収めることができました。  

各国の現状報告めぐり活発な討議

  今回のGVC2000には、アメリカ、カナダ、イギリス、ベルギー、ドイツ、オーストラリア、タイ、韓国など、欧米およびアジア地域の21カ国から計102名が参加。冒頭、主催者を代表してVECの田代圓会長(東ソー社長)が、「今回の会議が、世界の塩ビ産業の連携を高めるための実り多い議論の場となることを期待する」と歓迎挨拶を行った後、Tim Burns議長(米塩ビ協会(VI)専務理事)の議事進行により、参加各国の報告をめぐって活発な討議が繰り広げられました。
 各国の報告の中では、アメリカにおける最近の塩ビの需要拡大の背景として、「塩ビの良さを社会にアピールするためのプロモーション活動」の重要性を訴えた報告、台所の生ごみに含まれる食塩が、焼却時に塩ビと同程度以上の塩素源となることを確認した「食塩からのダイオキシンの発生実験結果」に関する日本の塩ビ工業・環境協会(VEC)の報告、DEHP(フタル酸ジ2−エチルヘキシル)の安全性に関する各国からの報告などが、特に注目の高かったもの。
 DEHPの安全性については、既に国際ガン研究機関(IARC)が「発ガン性物質に分類できない」として評価の見直しを行っていますが、今回の会議では「内分泌撹乱作用は確認できなかった」とする報告もあり、環境ホルモン問題でも安全性の究明が進んでいることを印象づけました。

 

塩ビの高炉原料化にも高い関心

  一方、リサイクルの取り組みについても、塩ビの有効利用と環境負荷の低減をめざして様々な技術開発が進行中であることが各国から報告されました。
 また、新技術の実用化に向けた試験研究の事例についても、VECおよび欧州塩ビ製造者協会(ECVM)から報告があり、GVC閉会後の10月13日には、日本におけるフィードストックリサイクルの実例として、使用済み塩ビの高炉原料化設備の見学会が日本鋼管(NKK)京浜製鉄所で実施されました。
 NKK、VECなどが共同で開発を進めているこの新技術に対する各国の関心は非常に高く、見学会に参加したアメリカ、タイ、台湾、韓国などの関係者からは、設備の技術面や経済面などに関して熱心な質問があい次いで出されました。