2000年3月 No.32
 

 「環境パフォーマンス評価」「容器包装リサイクル法」をテーマに2氏が講演

   環境問題をテーマとする当協議会主催の講演会が、昨年の12月から今年1月にかけて連続開催されました。講演のポイントをご紹介します。  

 1.ISOの環境パフォーマンス評価(EPE)について

資源環境技術総合研究所次長 水野 建樹氏 

EPE――企業活動の環境負荷評価手法

  12月13日の講演会(会場=東京都千代田区・麹町会館)は、資源環境技術総合研究所の水野次長がISO
14000シリーズのうち14031として1999年11月15日に発効した環境パフォーマンス評価(EPE)について概要を説明したもの。
 EPEとは、企業活動がどれだけ環境に負荷を与えているか、その負荷がどれだけ小さくなったかを評価する手法のことです。例えば、資源やエネルギーの使用量、環境負荷物質の排出量などを調査し、あらかじめ設定した目標値と比較して評価する、など。この手法は、資源採掘業、運送業、製造業、リサイクル業などどのような業種であっても適用可能で、企業・事業所単位で評価が行われます。
 講演の中で水野次長は、「EPEはISOの認証を必要としない企業の自主的な取り組み事項(ガイドライン)であり、強制力を持つものではない。しかし、その評価データは、今後企業に提出が求められるようになるであろう環境報告書の基準として企業活動に重要な影響を与えることが予想される」として、EPEおよびその外部報告のための環境報告書が、企業と一般社会(利害関係者)のコミュニケーションを活性化する上で大きな役割を果たすとの認識を示しました。
 環境報告書については、ISOの中ではまだ正式な標準化は行われていませんが、水野次長の話では、「今年の6月にストックホルムで開かれるISO総会/TC207会議で議論しようという計画」になっており、この議論の結果からISOとしての環境報告書についての考え方が煮詰まっていくものと予想されます。

 

通産省も環境報告書の在り方を検討中

  諸外国の中には、デンマーク、オランダなどのヨーロッパ勢を中心に、環境報告書について独自に法規制(提出の義務化)を実施している国が出てきているようですが、日本の場合も、通産省の中で平成10年の2月から環境報告書の在り方に関する勉強会が始まっています。現在、「環境報告書のためのガイドラインのようなものが必要か」「作るとしたらどのようなものが望ましいか」といった点について、関係方面の意見を参考にしながら検討が続けられているとのことで、検討の結果がどのような形にまとまるかが、当面の注目すべき動きと言えそうです。
 なお、EPEは認証の取得を必要としない事項であるため、データの信頼性という点で問題も指摘されています。この点について、水野次長は、「EPE自体は認証の対象外であり、その企業の環境パフォーマンスがよいか悪いかということは外部から検証できない。このために、環境報告書に出てきたデータがどれだけ正しいのかといった点については、その企業の信頼性の高い低いに基づいて考えるしかない」と述べた上で、「とはいえ、今後多くの企業がISOの14031を利用していくであろうことは間違いのないところだと思う」と、重ねてEPEに対する企業の関心を促しました。