建設省が10月4日に発表した「建築解体廃棄物リサイクルプログラム」は、不法投棄の9割を占めると言われながら、リサイクルの遅れが指摘されている建築系廃棄物について、分別・リサイクルの推進に向けた課題や、課題に対する戦略などを体系的にまとめたもので、建設省が次期通常国会に提出を予定している「建築解体・リサイクル法案」のベースになる考え方を示したものと見られます。
建設廃棄物の年間排出量はおよそ1億トンで、産業廃棄物全体(約4億トン)の2割程度を占めると考えられますが、このうち、土木工事から出る土木廃棄物は6割、企業のビルや民家などから出る建築廃棄物が4割で(次頁図参照)、公共事業の多い土木廃棄物についてはリサイクルもかなり進んでいるものの(平成7年度でリサイクル率68%)、建築廃棄物のリサイクル率はまだ42%に留まっています。特に民間の戸建て住宅については、解体コストを抑えるために機械を使って一挙に壊してしまう混合解体が多く、リサイクルが進んでいないのが現状です。
プログラムは、こうした混合解体中心の現状を分別・リサイクル推進の方向に改めるため、国が分別解体の基準を設けて解体業者に分別解体を義務づけるとともに、再資源化にも一定の責務を課す内容となっており、具体的には「4つの戦略」(下表)に基づいて、分別解体のチェック体制の整備やコスト分担の適正化(解体工事の発注者にも応分の負担を求める)、リサイクル推進のための技術開発や経済的インセンティブの実施といった個々の施策が示されています。
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- 1. 建築物の長寿命化促進等の新設時における戦略
- 設計・計画段階から建築解体廃棄物の発生を抑制するように対策の実施 等
- 2. 建築物の分解解体促進の戦略
- 適切な解体工事が行われているかどうか確認するための仕組みづくりの検討 等
- 3. 建築解体廃棄物の再資源化促進の戦略
- 再資源化の責任を明確化する、再資源化施設の設備に対する支援の実施 等
- 4. リサイクル市場の形成の戦略
- 公共事業におけるリサイクル材の利用促進、情報交換システムの構築 等
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