1998年12月 No.27
関東建廃協/建設系産業廃棄物の組成分析調査結果から
建設廃材の排出量、性状等を分析。塩ビパイプのリサイクル推進に貴重なデータ
関東建設廃材処理業協同組合ではこの秋、(社)建築業協会と(社)全国産業廃棄物連合会からの委託を受けて、建設系産業廃棄物の組成分析調査を実施しました。この調査は、廃棄物の発生抑制、リサイクルの推進などを目的に3年に1度行われるもので、今回で4回目。当協議会では、現在塩ビ業界が進める塩ビパイプ・継手のリサイクル事業の参考とするため、協力会社である浦和市の大水産業(株)とともに今回初めてその調査に参加し、使用済み塩ビパイプの排出実態などを取材してきました。
■ 170トンの混合廃棄物を23種類に分別
調査は9月28日〜10月2日の5日間、千葉県四街道市の潟^ケエイ四街道リサイクルセンターで実施されたもので、分析の対象となったのは関東地区の1都3県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)において、建築業協会の副産物部会に加盟する会員各社が施工した新築工事現場から排出されたトラック95台分の混合廃棄物計170トン。
調査では、集められた混合廃棄物を「再生利用の可能性」に重点を置いて、新安定型品目9種類(塩ビパイプ、その他廃プラ類、コンクリート片、電線など)と、新管理型品目14種類(残渣、石膏ボード、廃プラ類、繊維くずなど)の計23種類に分別。塩ビパイプについては、さらに品位別に「A=リサイクル可能」「B=なんとかリサイクル可能(Aに混ぜるなど)」「C=リサイクル不可能(埋め立て処分)」の3種類に仕分けして、それぞれについて容量・重量の計測と性状等に関するデータ収集などが行われました。
■ リサイクルできる塩ビパイプは8割
調査後にまとめられた報告書によれば、対象となった建設廃材170トンのうち、使用済み塩ビパイプの量は計0.92トン(0.5%)。うち品位別では「A」に相当するもの0.23トン(塩ビパイプ全体の25%)、「B」に相当するもの0.5トン(54%)、「C」に相当するもの0.19トン(21%)で、AとBを合わせればほぼ8割が再生可能な品質となっており、「予想していたよりもリサイクルできるパイプの量が多い」(大水産業の佐藤志郎社長)ことが分かりました。
また、今回の調査の責任者である新和土木(株)の松原泰男常務取締役は、この調査結果について「過去の調査に比べて塩ビパイプの排出状況は特に大きな増減傾向は見られず、新築工事から排出される建設混合廃棄物には安定して0.4〜0.5%(重量ベース)の使用済み塩ビパイプが含まれていると考えられる」と分析しています。
塩ビ業界では現在、塩化ビニル管・継手協会が中心となって、2000年までマテリアルリサイクル率70%達成を目標に塩ビ管・継手のリサイクルに取り組んでいる最中。今回、建設現場からの使用済み塩ビパイプの発生量と、その中のリサイクル可能な品質の割合を把握できたことは、今後塩ビパイプのリサイクルを進める上で貴重な基礎データになるものと考えられます。