1997年3月 No.20
 
塩ビボトルリサイクルWGの静電分離装置、試運転開始

塩ビ・PETの混合フレークを99.9%以上の高純度で分離、4月から一般公開へ

  当協議会の塩ビボトルリサイクルワーキンググループ(以下、塩ビボトルWG)で導入した、塩ビとPETの混合フレークを99.9%以上の高純度で分離できる静電分離装置が、去る2月4日、試運転を開始しました。塩ビ業界期待のリイクル技術は、将来の実用化に向けての一歩踏み出そうとしています。

 

■ 塩ビボトルのリサイクル技術、大きく前進

 
  静電分離装置は、塩ビ製ボトルのリサイクル技術の一環として、塩ビボトルWGが機械メーカーのセンコー工業(千代田区神田神保町)の実験装置を用いて、同社と共同で開発を進めているもの。   塩ビボトルWGでは、全国の醤油メーカーやボトルメーカー14社の協力により使用済みボトルのリサイクルモデルシステムづくりに取り組んできましたが、ボトルを粉砕処理する際、PETボトルが誤って混入するため、両者をいかに効率的かつ高純度で分離するかが技術的な課題となってきました。
  開発中の静電分離装置は塩ビ・PETの混合フレークを自動的に99.9%以上の純度で分離できる装置で、塩ビボトルリサイクルの切り札とも言える期待の新兵器。本誌では先に装置の技術的な見通しがついた段階で一度その概要をご報告していますが(No.17/平成8年6月号)、今回、装置の試運転がスタートしたことは塩ビボトルのリサイクル技術が大きく前進したことを意味します。
 

■ 高純度分離を可能にした連続運転

 
  装置の構造は図に示したとおり。まず、協力メーカーから回収された塩ビ・PETの混合フレークを摩擦帯電装置に投入し、塩ビをマイナス、PETをプラスに帯電させて電極板で分離した後、分離板で仕切られたマイナス極側の槽に塩ビ、プラス極側の槽にPETを回収します。さらに、真ん中の槽に集められた完全に分離し切れない混合フレークはラインを通って再び摩擦帯電装置に送られますが、このように「連続運転できる」ことが装置の大きなポイントで、この工程を繰り返すことにより最終的に99.9%以上の分離が実現できる仕組みとなっています。
  「塩ビボトルは4月からスタートする容器包装リサイクル法の対象にはなっていないが、将来に備えてリサイクルの技術的な可能性を確立しておきたかった。今回の試運転は、PETが少々混ざっていても塩ビボトルのリサイクルには全く支障のないことを実証するものだが、我々としては今後さらに装置の精度を高めて99.99%までの高純度分離を目指したい」(塩ビボトルWG関係者)。
  同WGでは、3月いっぱいかけて装置の安定性を確認した上で、4月から協力メーカーやマスコミ関係者などを対象に一般公開に入る予定です。