「次世代廃プラスチック液化技術開発プロジェクト」の事業の内容は、油化に関する各種の要素技術開発と、その成果を織り込んだモデルプラントの建設、実証試験の3つから成っており、昨年から始まっている要素技術の開発に続いて、今年の秋には新潟市で実証試験がスタートします。
現在は、プロジェクトの技術協力者である潤滑油メーカー・歴世礦油(新潟市平和町)の工場内にプラントの建設が進められている最中で(建設は千代田化工建設株式会社)、先頃、協会が通産省に提出した8年度事業計画によれば、9月には前処理工程と油化工程から成るプラント全体が完成し、10月から半年間にわたって実証試験が行われる予定となっています。 |
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■ 一般廃棄物の廃プラ6,000トンを処理
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実証試験には新潟市が分別回収したプラスチック廃棄物が使用されますが、その量は年間約6,000トン。この中からA重油相当の油を製造する計画で、焼却施設に対する住民の反対と最終処分場の不足問題などからプロジェクトへの協力を決定した新潟市にとっても、油化技術の開発は「50万都市の廃棄物再資源化の決め手」として重要な意味を持っているようです。
また、事業をスムーズに進める上では分別収集の徹底がポイントとなりますが、市ではこれまで再三にわたって住民への説明会を開催してきており、既に一部の地区で始まっているモデル収集の状況を見ても、住民の協力で非常に分別程度の高い廃プラが集まっているとのことです。 |
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■ 塩ビ「2割混合」でも処理可能
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前述したとおり、このプロジェクトの最大の特徴は、家庭から出るプラスチック廃棄物を塩ビも含めてそのまま混合処理する技術の確立をめざしている点にあります。
プラスチック廃棄物に含まれる塩ビの量はほぼ1割程度と推定されますが、協会のモデルプラントはペレットレベルで2割程度の塩ビを含んでも問題なく処理できるように設計されており、今回の実証試験では、こうした塩ビの混合処理に備えて検討されてきた各種の要素技術(脱塩化水素技術や、塩化水素ガスを塩酸として回収し有効利用する技術など)の実効性を確認することも、大きな目的となっています。
「廃棄物処理に唯一の正解というものはない。容器包装リサイクル法に備え自治体の選択肢を増やすことがこのプロジェクトの目的であって、どの選択肢を選ぶかは自治体が判断すること。塩ビを含む廃プラの油化処理技術はその選択肢のひとつとして十分可能性がある」と、協会関係者は実証試験の今後に自信をのぞかせています。 |