■ 性能はベニア板を陵駕
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廃農ビと廃木材などを原料に開発された新タイプの板材が話題を呼んでいます。
この廃農ビ再生ボードは、新素材開発会社のアイン(東京都品川区、西堀貞夫社長)が、伊藤忠商事(株)などの協力を得て開発したもの。廃農ビとバージン塩ビを24.5%ずつ、廃木材(または古紙)を51%混ぜ合わせ、アインが開発した特殊技術により溶融、成形して製造されます。
木質分が50%を超えるため木材としての認定を受けることができ、性能はベニヤ板を陵駕。特に、耐水性、強度にすぐれ、収縮性(反りや寸法の狂い)が安定していること、既存の木材加工機をそのまま使用できること、さらに白アリの被害にも強いことなどから、住宅の高級感を必要とする部分(壁、床等)、窓枠や水まわり部分への利用が期待されています。 |
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■ 塩ビのすぐれた特性を利用
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アインと伊藤忠が製品の販売とリサイクル事業の推進を目的に設立した合弁会社りんね(株)(東京都港区北青山2−5−1、伊藤忠商事内)の川端一彰営業部長によれば、「初めは塩ビの代わりにポリプロピレンを用いて開発を試みたり、ポリオレフィンやポリスチレンでも試してみた」とのことですが、結局は性能、コストともに塩ビが最も適しているという結論に達しました。
「塩ビは、生産も安定しており、強度、加工性いずれを取っても他の樹脂より優れている。接着や塗装も楽だし、可塑剤を加えれば何度でもリサイクルできて品質もほとんど落ちない。将来は廃塩ビを使って木材以外の用途開発にも挑戦してみたい」
ちなみに、会社名の「りんね」は仏教の「輪廻転生」から取ったもので、本来の役目を終えた資材に新たな命を吹き込みたいという理念が込められているそうです。 |
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■ 目標は住宅用材の20%代替
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開発された板材は、既に一部の住宅メーカーで実用化が進められていますが、今後は希望するメーカーなどに生産方式をライセンス供与していく計画で、地方の農協が林業組合と提携したり、自動車メーカーが自社工場から出る廃塩ビと廃木材を利用して生産したりといった形で、具体的な引き合いも出始めている模様。
また、原料となる廃塩ビには透明性の高い農ビが最も適していますが、このほかに、大量に廃棄されたダイヤル式の電話機や電線被覆用の塩ビなどもリサイクルしたい計画で、りんねでは、「最終的には約10万トンの廃農ビを中心に、電線被覆、電話機などを原料に住宅用木材の20%くらいは代替していきたい」(川端部長)と意欲を示しています。
この技術は既にヨーロッパの塩ビ関係者の間でも注目を集めはじめているとのことで、廃棄後の処理が問題となっている農業用ビニルが予想される木材不足の救世主となり得るか、これからの動きに大きな期待がかかります。 |
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