■ 触媒不要のアルカリ・水添加法
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今回東芝が開発した油化技術は、ゼオライトなどの触媒を用いる従来のタイプとは異なって、アルカリ・水添加法と呼ばれる方式を採用している点に大きな特徴があります。
これは廃プラスチックを熱分解する際に、アルカリ(苛性ソーダ)と水を加えて、塩化水素などの発生を抑えながら燃料油化を回収しようというもので、東芝ではこの方法により処理できる廃プラ中の塩ビの混入率を50%にまで向上させることに成功しています。
また、併せて採用されている加圧・熱分解槽(高温下で10気圧以下の圧力を加えて重質油を高品質な軽質油に変換する装置)や、温度を調整することで生成油の質を制御する凝縮器なども、このプラントの見逃せない特徴のひとつといえるでしょう。 |
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■ 3種類の生成油を回収
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実験プラントは、入舟分工場の一画にある研究開発センター環境技術研究所分室に設置されています。
プラントの処理量は1日当たり最大250sで、処理時間は約11時間。油化の工程をざっと説明すると、
1. 充填効率をよくするために廃プラを数ミリ角に粉砕
2. 常圧分解槽でアルカリと水を加えて加熱し分解ガスを発生させる
3. 発生した分解ガスを凝縮器で冷却
4. 油水分離機で水分を分離して生成油を回収という流れになっています。
このうち凝縮器は冷却温度の違いで1次〜3次に分かれており、分解ガス中の重質油成分は1次凝縮器(冷却温度200℃)で回収された後、加圧分解槽で軽質油に変換されるほか、2次凝縮器(同100℃)では軽油、灯油に近い中質油、3次凝縮器(同30℃)では灯油、ガソリンに近い軽質油が回収されます。
その割合は、中質油が70%と最も多く、残りの30%が重質油、軽質油とのことです。
なお、塩化水素は2.の段階で95%程度まで中和されますが、未反応のものは最後の排ガス処理工程で完全に処理される仕組みとなっています。 |
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■ 期待される産廃系廃プラ処理への貢献
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このプラントは、プラスチック全体の80%を占める熱可塑性プラスチックの油化を目的としたもので、「熱硬化性のものについては別の処理法を検討したい」と東芝では説明しています。
このため、現在は可塑剤の影響や耐久性などを中心に商品化のための必要データの蓄積作業が続けられており、「平成7年中には日両1〜5トン規模の装置を商業化したい」計画。
開発が計画どおりに進めば、東芝の油化システムは、産廃系の廃プラ処理設備として大きな貢献が期待できます。 |
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