1994年12月 No.11
 

  ディスポーザブルで清潔。様々な特性を生かして私たちの
 健康を守る医療用塩ビ製品 

 

  塩ビ製品は、数多くの優れた特長から社会の様々な場面で活躍しています。今回取り上げた医療用の塩ビも、地味ながら私たちの生活には欠くことのできない用途のひとつ。医療の現場で人々の命を守る塩ビ製品。それはどんな特性によって支えられているのでしょうか。
 

● 医療技術の可能性を大きく拡大

 
  医療用資材は、塩ビ製品の用途としては比較的特殊な領域と言えますが、その重要性は
 農業用ビニルや塩ビパイプなどに比べても決して引けをとるものではありません。医療用としての塩ビの使用は、朝鮮動乱(昭和年)の際に米軍によって血液バッグなどに利用されたことに端を発します。日本では昭和30年頃から製造が開始されており、その後ガラスやゴムといった従来の資材を凌駕製品として急速に普及し、医療技術の可能性を大きく広げることに貢献してきました。
  塩ビが医療用資材として普及した最大の要因は、薬品による影響が少なく、ディスポーザブル(始末しやすい)で清潔な素材だという点にあります。また、透明性、柔軟性にすぐれ破損の心配が少ないこと、そして、ディスポーザブルであるためには安価で経済的という点も見逃せないポイントと言えるでしょう。例えば、現在最も多く使用されている医療用塩ビ製品(下表)のうち、血液バッグはガラスよりも壊れにくく血小板の保存がよい、輸血用チューブはゴム管と違って透明で静脈血栓症が少ないといった点で塩ビ製品が使用されているのです。
  もちろん、医学的安全性に関してはこれまで厚生省など各種の調査によって十二分な保証が与えられています。また、使用後の処理の面でも、平成2年からは廃棄物処理法改正とそのガイドライン策定により特別産業管理廃棄物として厳正な焼却処理が行われて、生産から廃棄まで、医療用塩ビ製品は「安全」という一貫した枠の中でその役割を全うしているのです。