東京ローソク製造鰍フチャレンジ経営
ローソクに始まり、クリスマス用品、空ビ製品へと事業領域拡大
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東京ローソクのクリスマス用品群 |
まもなく12月。ということでクリスマスにちなんだトリビアをひとつ。シーズンが近づくにつれ、家庭や店頭でよく見かけるようになるプラスチック製のクリスマスツリー、その国内トップシェアを有する会社は?答えは東京ローソク製造梶i塩田博幸社長、東京都台東区)。では、ローソクメーカーがなぜクリスマス用品なの?そして塩ビとの関わりは?答えは本文の中に。 |
●第1のチャレンジ
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塩田社長 |
「人に望まれる商品」にこだわり、新たなチャレンジと確実なステップアップを続ける−それがモノづくりに対する東京ローソクの基本姿勢。この言葉どおり、90年以上におよぶ同社の事業は、時代の変化に伴ってさまざまな挑戦を積み重ねてきました。
社名からもわかるとおり、同社は大正13年(1924)、ローソクの製造・販売業からスタートした会社です。「当時のローソクの用途は仏具より照明用がメイン。商品のカテゴリーも日用雑貨の括りで、固形石鹸、マッチ、ローソクが日用雑貨の3大品目だった。電灯はもちろん普及していたが、照明用としてのローソクの需要はまだまだ大きかった」(塩田社長)。
戦後もしばらくの間はローソクひと筋の事業を維持していた同社ですが、その後照明用ローソクの需要が減退してきたことから、新分野の開拓に挑戦。まずは、チョコ型やビヤジョッキ型といった多彩な変形キャンドルを開発し、ファンシー雑貨の分野に進出を果たします。
●クリスマスグッズ市場へ
「ファンシー雑貨を始めたのはもう40年近く前。幸い変形キャンドルはクリスマスなどのパーティ向けとしても人気を集め、都内の大手デパートにも販路が広がったが、その後、子供向けだったクリスマスグッズの市場が、若者向けのファンシー雑貨市場に移動してきたのを機に、当社もローソクだけでなく、クリスマスツリーやリース、モールなどのさまざまなクリスマス用装飾品を手がけることになった」
こうして、ローソクメーカーからクリスマスグッズ市場へと領域を拡大した同社ですが、塩ビ製品を扱うようになったのもこの時から。ほぼ100%が塩ビ製というクリスマスツリーをはじめ、同社のクリスマス用品は、現在でもその多くが塩ビを素材として利用しているのです。
「当社の製品は約半分は塩ビ製だと思う。塩ビは成形性、着色性に優れていて、ダイオキシン騒動のときも、一部PET樹脂のツリーを作ってみたりしたが、結局は塩ビにかなわず、さほど大きな影響は受けなかった」
なお、同社のクリスマス用品事業の形は一種のOEM方式となっており、同社が製品の企画、デザインなどを決定した後、中国、台湾など海外のメーカーに製造を委託する形。この海外メーカーとの関係が、サマーレジャー用空ビ製品の販売という第2のチャレンジにつながっていきました。
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クリスマスリース |
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彩りも楽しいファンシーキャンドル |
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クリスマス用品から派生したハロウィン用品も人気。ここにも塩ビが多く使われている。 |
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浮き輪やプール、ボートetc.サマーレジャー用空ビ製品の数々 |
●第2のチャレンジ・サマーレジャー用空ビ製品
「サマーレジャー用の空ビ製品を手がけたのは、事業のバランスをとりたかったから。クリスマス用品は年に一回の商売で、極端に言えば前後数ヶ月で年間売り上げの7、8割はいってしまう。事業としてあまりにアンバランスなので、年間の売上げを均等にしたいと思って夏向けの空ビ製品に着目した。というのも、取引先が殆どクリスマス用品と重なる上、長い付き合いのある台湾のメーカーも空ビの加工はお手の物だったので、こういうことをやりたいと相談したらすぐに応援してくれた」
空ビ事業のスタートは2000年頃からで、現在では浮き輪や大型プール、ボート、サーフライダーなど多彩なアイテムが揃っています。このうち大型プールは、アメリカのヒット商品を参考に、サイズなどを日本の家庭向けに再企画したもので、同社が初めて日本に紹介した製品。「空ビ業者としては新参者なので、新しいマーケットを作ろうと思った。最初は大手のホームセンターに500個置いてもらったが、次の年は3000個、その次の年は1万個と需要が急増。その勢いにつられて浮き輪も一緒に広がっていった」といいます。
●第3のチャレンジ・ペット供養製品
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ペット祭壇の一例。
ほかにもバリエーション多数 |
同社の事業は、ローソク、クリスマス等装飾品(含ハロウィン用品。上の写真)、空ビ製品が3本柱となっていますが、すでに第3の挑戦も始まっている様子。ペットロスを癒やすペット供養製品『おもいでのあかし』シリーズがそれ。
「第1弾として新機軸のスライド式写真立てを2年前に出した後、昨年は棺と位牌などをセットにした祭壇を発売した。まだ始まったばかりで数字は小さいが、倍倍で伸びており、現在第3弾を企画中。こういう商品は認知されるまで時間がかかる。勝負は来年以降で、今は様子を見ている段階だ」
同社の製品はすべてオリジナル。ペット祭壇の場合、多くのメーカーの協力が必要となりますが、「海外メーカーとの長年の協力関係でルートがあり、業者をまとめやすい。これがうちの強みだ」と塩田社長。ちなみに、ブリスターパックは塩ビ製とのことでした。
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