無電柱化と塩ビ管〜
C.C.BOX管路システム研究会の活動
管路システムの多様化や材料変更などでコスト低減に挑戦
防災対策、景観の向上などを目的に全国で進展する無電柱化事業。前項「東京都の取り組み」の中でも指摘されたとおり、無電柱化を推進する上で塩ビ管は重要な役割を担ってきましたが、同時にコスト低減などへ向けた期待も一層大きくなっています。こうした声に業界はどう応えていくのか。管材メーカーの団体C.C.BOX管路システム研究会 (東京都中央区日本橋)の活動に、その一端を取材しました。
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●新型電力管CCVPの開発
■C.C.BOX管路システム研究会
日本の電線類地中化に管材分野から貢献できるように管材メーカーが集まって技術開発を中心に活動を行っている研究会。平成9年10月1日、情報ボックス管路システム研究会として発足した後、平成15年9月に改称。C.C.BOXの最適な管路システムのあり方を研究すると共に、開発された商品を広く普及させることを目的として、電力管理者等の指導のもと最適材料を研究、規格化し、各社同一仕様で供給する体制をとり、電線地中化の発展に寄与する活動を行っている。会員はアロン化成㈱、㈱クボタケミックス、積水化学工業㈱の3社。
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電線共同溝ケーブル保護管の敷設作業の様子 |
C.C.BOXとは電線共同溝のこと(C.C.は“Commu-nity:Communication:Compact”のCと“Cable”のCを組合わせたもの)。電力ケーブルや通信ケーブルを同一断面に収容する方式で、ケーブルを地中化する際に一般的に行われている方法です。同研究会の村瀬洋一事務局長によれば、電力ケーブル保護管(以下、電力管)・通信ケーブル保護管(以下、通信管)として塩ビ管が広く使われるようになったのは、国による電線共同溝の整備が契機だったといいます。
「ケーブルの地中化はもともと電力会社と通信会社が各々で対応していたが、欧米に比べて遅れている無電柱化を加速するため、国が特別措置法を作って(平成7年)、電線共同溝の整備を本格化させて以降、他管種に代わり塩ビ管が主流になってきた。これによりコスト削減と整備速度のアップが図られ、現在はほぼすべての地中化が塩ビ管となっている」
電力管・通信管として塩ビ管が普及したのは、軽量、安価で耐久性に優れること、内外面が滑らかでケーブルを通しやすいこと、埋戻し土や重車両の荷重に対する埋設強度が高いことなど、多様な特長を備えているためですが、一方で平成9年に同研究会が電力業界と行った新型電力管CCVPの共同開発も大きな弾みとなりました。
「電力管も通信管も、当初は電力会社やNTTが定めた仕様で厚みや寸法などを決めていたが、電力管については地域の電力会社ごとに規格が違っていたことが普及の壁となっていた。そこで、当研究会として、電線共同溝向けに電力管の規格を全国統一することを電力業界に提案。耐衝撃性に優れ、電力ケーブルの発熱にも耐えられるCCVPを規格化した」(同研究会の松尾康孝技術委員)。
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多様化する電線共同溝の管路システム(図のオレンジ色は電力管、グレーは通信管) |
●現場の状況に合わせたシステム
一方、管路システム自体の工法も、一本の管の中に一本のケーブルを入れて敷設する1管1条方式から、通信管をコンパクトに納める共用FA方式、さらなるコンパクト化と低コストを実現した1管セパレート方式と開発が進み(上図)、それぞれのシステムに合わせた管材も同研究会により規格化されるなど(同研究会のサイトhttp://jbx.jp/を参照)、無電柱化する現場の状況に合わせて多様化が図られてきました。
「共用FA方式も1管セパレート方式も通信管をコンパクトに収容するシステムとして開発したもの。当初は通信管も電力管と同様1管1条方式を採用していたが、幅の狭い歩道の工事などでよりコンパクトな収容スペースが求められたことから、1管多条の方式をNTTと共同開発した。通信ケーブルはもともと細径で発熱もない上、最近は銅線より細い光ファイバーケーブルへの切り替えが進んで集約化が容易になった」(同研究会の澤田浩幸技術委員長)
●電力管の材料変更へ。ECVP管を新規格化
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電力管の材料変更でさらなる低コスト化を実現 |
電力管については「エネルギー供給という役割上、太径で発熱もあるため集約化は難しい」とのことですが、昨年5月には材料変更によるコストダウンの試みが実現しています。
「電力・通信会社が定めている性能基準を時代に合わせて緩和する動きが進んでいる。その1つが耐衝撃性能の見直し。これまでの基準では、工事のときにツルハシの先端で叩いても破断しない性能が求められたが、これがスコップの工事に耐えられる性能があればいいという基準に改められた。つまり、通信管と同じ一般の塩ビ管で電力管も統一していくということで、我々もCCVPの耐衝撃基準を緩めECVP管として新規に規格を制定した。これにより、さらに安価に電力管を提供できることになった。当研究会としては、今後もこうした取り組みを重ねて無電柱化の低コスト化に貢献していたきい」(村瀬事務局長)
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