田島ルーフィング鰍フ塩ビ床シート
品揃え大幅改訂。
ノーワックスメンテ&抗菌性能で福祉・介護向けに
介護用品に続いて、床材の分野に目を転じます。取り上げるのは、ルーフィング材、床材などの建材メーカー・田島ルーフィング梶i田島国雄社長、本社 東京都千代田区)の塩ビ床シート。新ラインナップが出そろった同社の製品群の中から、介護・福祉の現場で活躍が期待できるアイテムを中心に紹介してもらいました。
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高い衝撃吸収性で歩行の安全を確保する「ACフロア」シリーズ |
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●デザインもさらに多彩に
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大村課長 |
日本初の塩ビ管を製造したのがアロン化成なら(前項)、同じく日本初の塩ビタイル(「Pタイル」)で知られるのが田島ルーフィング梶B1953年のことで、塩ビ床材メーカーの先駆けとなる取組みでした。
塩ビ床材には、床タイル、床シート、カーペットタイルなどの種類がありますが、同社では今年9月21日付けで塩ビ床シートのラインナップを大幅改訂。@UVコーティングによるノーワックスメンテナンス(ワックス掛け不要)、A抗菌性、B高級感のある低光沢テクスチャ、という基本性能を全商品に付与したほか、デザインもさらに多彩なものへと刷新しています。
「ノーワックスメンテナンスは床材の世界では既に一般化しているが、当社の新製品はその上に多様な付加価値をプラスしている。中には、ガラス繊維層を入れて寸法安定性、施工性を高めた製品もあり、見た目だけではわからない品質設計も向上した。意匠性については、デザインも性能のひとつと考えているので、木目調、織物調など現場の空間に合うようなデザインを取り入れ、バリエーションを広げている。また、建物別、部位別に最適な製品を選べるよう細かくアイテムをそろえた。この改訂により、塩ビ床シートの可能性が大きく広がったと考えている」(床同社営業開発部2課の大村康治課長)
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耐薬品性も高い「メディウェル」シリーズ |
●手頃な価格設定
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ガラス繊維層を加えた積層構造 |
今回の改訂は「8シリーズ計500アイテム以上に及ぶ同社史上最大の改訂」と言われるものですが、中でも福祉・介護施設や病院、さらには学校などでの活躍が期待されるのが、適度なクッション性と歩行感を備えた低発泡シート「メディウェル」、連続気泡発泡と呼ばれる技術でより高い衝撃吸収性を持つ「ACフロア」、化学吸着による消臭機能を備えた「消臭ウェルクリーン」、テクスチャの意匠性に優れ、福祉・介護施設だけでなく商業施設などさまざまな建物に利用できる「マジェスタ」の4シリーズ。
このうち、「メディウェル」シリーズは、従来の「エコディライト」の品質を大幅向上させ、新ブランドとして再出発したもので、わずか2mmという厚みながら、低発泡シートならではのクッション性と歩行感を実現しています。ノーワックス、抗菌に加え、病院等で使用される消毒薬などへの耐薬品性があるため、福祉・介護施設や病院には最適。価格も使いやすい手頃なレベルに抑えられています。
●疲労軽減にも役立つ優しい床材
「メディウェル」の発泡構造をアップさせて、よりクッション性を強化したのが「ACフロア」シリーズ。厚さ2.8mm、3.5mm、6.0mmの3タイプがあり、入所者の安全を重視する老人介護施設なら6mm、ストレッチャーの移動などが必要な救急病棟の廊下なら2.8mmといったように、建物別、部位別に使用することで、よりふさわしい施工ができるのが大きな特長です。「この製品は、患者さんや看護師さんの疲労軽減にもなる優しい床材。ガラス繊維層を入れているので温度変化による伸び縮みも押さえられる。施主、設計者と意見交換しながら、適材適所の施工を提案している」(中村室長)
一方、「マジェスタ」シリーズは発泡性のない複層ビニル床シートで、67色という多彩なバリエーションとデザイン性の高さがポイント(厚さ2mm、ガラス繊維層入り)。商業施設、学校、あるいは病院、福祉施設の「クッション性能は不要だが意匠性がほしい」という場所など、広汎な使用に適しています。
コーティング層に消臭剤を添加した「消臭ウェルクリーン」は、同社としては初の試みとなる製品で、トイレはもちろん、医療・福祉・介護施設、特にリネン室など、臭い対策が求められる場所で効果を発揮します。
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意匠性に優れる「マジェスタ」シリーズ |
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臭い対策には「消臭ウェルクリーン」 |
●情報交換、情報提供の大切さ
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中村室長 |
床材営業部フロアマーケティング室の中村健一室長は、「製品の開発については、営業スタッフが日々お客様から拾ってくる声を参考にするほか、こちらからもいろいろ提案して相互に情報交換しながら進めている。また、商品を納めて終わりではなく、現場でどんなふうに使っているかを見せてもらって、前よりも使いやすくなったかを確認している」とした上で、「今回の新製品は、ノーワックスとはいえ傷、汚れの付着は避けられない。水拭き、モップ等は必要なので、ノーワックスという言葉だけが一人歩きしないよう、お客様には丁寧に情報提供している」と説明しています。
また、福祉・介護分野への今後の対応については「お年寄りは増えるが施設の数は頭打ちになると予想される。日本の人口構成から見て運営スタッフの人材確保はより困難になり、在宅ケアが中心にならざるを得ない。世の中の仕組みが変わっていく中で、住宅の床も、堅いフローリングから柔軟なものに変える、バリアフリーに改築するといった動きが進むと思うので、そういう変化を先取りしながら、メーカーとして生き残っていけるよう対応していく」と述べています。 |