2017年3月 No.100
 

『PVCニュース』創刊100号の発刊に当たって塩化ビニル環境対策協議会会長  角倉 護

 『PVCニュース』の創刊100号発刊に際して、ひと言ご挨拶申し上げます。
 塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)は1991年10月に「塩化ビニルリサイクル推進協議会」として発足しました。当時、廃棄物のリサイクル・環境問題への社会的関心が急速に高まる中、同年に「再生資源の利用の促進に関する法律」(リサイクル法)が制定されたこともあり、業界の自主的な取り組みとして塩ビ管などの主要な製品のリサイクル事業の推進活動を開始しました。JPECでのそのような取り組みは、例えば、塩化ビニル管・継手協会による塩ビ管のリサイクルなど、業界独自のイニシアティブとして内外にリーダーシップを示すような活動として育ってきています。『PVCニュース』は、そのような業界の取り組みを広く紹介するための広報誌として1992年6月に創刊しました。
 その後、同協議会は、リサイクルだけでなく、化学物質管理問題など環境問題全般に対応して社会的な責任を果たしていくため1997年に塩化ビニル環境対策協議会と改称されました。PVCニュースの扱うテーマも、環境・エネルギー、化学物質管理、化学コミュニケーションへと、そして、近年は、デザインと新しい製品・暮らしの提案などまでカバーするようになってきています。これまで、学界、国及び地方の行政機関、産業界、NPO、或いは個人として、第一線でご活躍されているさまざまな識者の方々に御登壇いただきました。その数はまもなく100人に迫ろうとしています。たくさんの示唆に溢れるお話をいただきました。
 全国津々浦々で進む様々な塩ビ製品のリサイクル動向をレポートする「リサイクルの現場」は、取り上げた事例が100件を超えました。日頃、なかなか目にすることのない現場ですが、そこには数々の創意工夫があります。そのような工夫や努力の継続がリサイクルを進化させています。塩ビ管のリサイクル量は、塩化ビニル管・継手協会が事業を始めたときは4000トンでしたが、2015年には2万トンを超えるまでに増加しました。農業用フィルムでは産業界、自治体、農協、農家の連携によりリサイクル率が着実に高まり7割を超えています。タイルカーペットは、製造企業がエコマークアワードを相次いで受賞しましたが、再生材を効果的に使用する製品のモデル的存在です。最近では、リサイクルが難しいとされた壁紙においてもマテリアル・リサイクルの道が拓かれつつあります。
 化学コミュニケーションも、化学関連団体、プラスチック関連団体らと連携し、教育機関とも協力を深め、教材の作成、出前授業、先生方との交流の場を通じて教育活動に貢献させていただいております。また、NPOの方々とも協力し、体験型の展示会の企画・運営を行うなどコミュニケーションの手法開発にも力を入れております。これらも継続的にPVCニュースにて紹介させていただく予定です。
 末尾ながら、読者の皆様、取材にご協力いただいたすべての関係者の皆様に心よりお礼を申し上げるとともに、引き続きご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。