1994年9月 No.10
 
 

   地球環境との共存を求めて

  

 塩化ビニルリサイクル推進協議会 会長 佐藤 彰夫 

■新会長からのご挨拶■

  私は、本年6月14日に当協議会の会長に就任いたしました。前会長の児玉俊一郎氏は、塩ビに関する正しい知識の普及と再資源化技術の指針づくりを目的に設立された協議会の趣旨に沿い広範な活動を展開してこられました。当協議会は発足して4年目ですが、各ワーキンググループ、各委員会ともこの路線に沿って着々と活動を進めてております。
  例えば、マテリアルリサイクル関係の研究に関しては塩ビボトル、卵パックのリサイクルの実験と塩ビ管廃材の回収方法等の検討を続けてきましたが、回収量、回収費、精製処理、再生用途の開発等において経済合理性に欠ける部分が多く、今後これらの問題点を整理し、業界としての方向を検討することになるでしょう。
  一方、サーマルリサイクルやケミカルリサイクルの研究にも力を入れております。塩ビ混入率の高い廃棄物を無公害に焼却でき、かつ安価で小型のプラントを開発するため、プラントメーカーと共同研究を行うことにしております。また、焼却処理によるエネルギー回収技術、熱分解による油化、固形燃料化技術、有用資源の回収技術などの開発においてもプラスチック処理促進協会と連携を図りながら取り組んでおります。
  一方、塩ビに対する誤解は依然として多くの人が持っているので、PVCニュース、業界紙等への意見広告、展示会、ビデオの放映等引き続き正しい理解を得るための広報活動を続けてまいります。
  貴重な資源をどう有効利用するか。塩ビは資源の利用効率の良い素材ですが、さらにマテリアルリサイクル、サーマルリサイクル、ケミカルリサイクルの研究開発を進め、美しい地球環境との共存を考える必要があります。歴代会長の路線を踏襲しながら消費者に対し、塩ビ樹脂製品の長所について真剣な啓蒙活動を続けるよう努力してまいります。
 

 

■略 歴■
 昭和8年、樺太生まれ。東京大学経済学部卒。32年4月、三井化学工業(現三井東圧化学)株式会社入社。60年取締役、平成元年常務取締役、3年専務取締役を経て5年6月代表取締役社長に就任。