一方、英独両国の報告は、リサイクルコスト、とりわけ回収コストの負担をどう克服するかという問題を改めて浮き彫りにするものとなりました。両国では現在、企業が中心になってプラスチック都市ごみの回収を行っていますが、英国からは「都市ごみはあくまでも廃棄物であって、そのリサイクルには行政が一定のコスト負担をすべきだ」という意見も出され、状況の厳しさをのぞかせました。また、ドイツではDSD(デュアル・システム・ドイツ)と呼ばれる組織(包装関連業界が設立したパッケージ類の回収組織)が都市ごみとして出されるプラスチックパッケージの回収を行っており、その経費はDSD参加企業の拠出金により賄われていますが、これも次第に大きな負担になりつつあるとのことでした。
● 「焼却」が不可避のテーマに −転換期迎える欧州のリサイクル事情
また、取り組みが進むにつれてリサイクル全体に要するコストや再生品の用途開発なども大きな問題になってきているといいます。
「ヨーロッパにおけるリサイクル技術の検討は、各企業ベースで積極的に進められているが、リサイクルが本格化したときにそのコストと回収スクラップの用途をどうするのかという問題が浮上してきている。これは、日本では既にプラスチック処理促進協会が15、6年前に結論を出した問題であり、この点で日本の対応はヨーロッパより遥かに進んでいると言える。これ以降、日本ではごみ焼却が積極的に進められることになったわけだが、焼却には消極的だったヨーロッパでも、今後、この問題は避けて通れないテーマとなるだろう。本音として焼却の必要性を認める意見も幾つか聞くことができた」(木下委員長)。
ヨーロッパのプラスチックリサイクルは大きな転換期を迎えているようです。