使用済み農業用ビニルフィルムのリサイクルは、(社)日本施設園芸協会を中心に各種関係者のご協力を得て、全国で精力的に進められています。使用済み農ビは、幅広で長い上に土砂などが付着しているため、回収・再生に際しては数々の問題がありました。しかし、10年にわたる適正処理の実験とその後の適正処理推進活動の展開により、現在では排出量(平成3年1年間で約10万トン)の約40%がリサイクルされるまでになっているのです。
リサイクルは、一般には次のようなシステムで進められます。まず、地域協議会が策定した適正処理実施計画に基づき、各農家が使用済み農ビを直接再処理工場に持ち込むか、あるいは所定の集積場に集めて農協や回収業者がこれを工場へと送り込みます。フィルムには、他の材質と区別するために「農ビ」のプリントマークが印字されています。工場に運ばれた農ビは以下の手順で再生されます。
再生された塩ビは品質が良く、マットやシート、床材(タイル)、履物(サンダル、靴底)、杭、防水シートなどに幅広く利用されています。
一方、電線用のプラスチックについては、1年間に廃棄される電線約20万トンのうちプラスチック部分は約6万トンで、うち約1万トン(16%)が再生されています。電線用プラスチックはすべてが塩ビではありませんが、再生されるプラスチックの殆どが塩ビと見られています。
業界では、短期的使用製品については、品質の向上を図って肉薄化を進め、省資源、廃棄物抑制、回収リサイクルに努めています。また、長期使用製品については、施工法の改良、製品設計による効率的利用、リサイクルの研究など、回収と減量化への努力、そして技術の改良が進められています。