ごみ焼却時のダイオキシン類の挙動
NKK・島津テクノが共同研究-「PVC混入の影響は認められず」
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ごみ焼却プラントにおけるダイオキシン類の排出を抑制することは、廃棄物の無公害処理技術の中でも大きなテーマのひとつです。しかし、焼却炉から煙突に至る過程でダイオキシン類がどのように生成変化するのか、その挙動について詳細な検討を行った報告はこれまで殆ど見られませんでした。それは、実プラント内においては、ごみの質や燃焼状態(温度や排ガス量の違い)などさまざまな要因が複雑に絡み合い、正確な解析が困難になるからです。
鉄鋼メーカーで焼却炉の設計・製造も行っているNKK(本社=神奈川県川崎市)と、民間の研究機関・島津テクノリサーチ(本社=京都府京都市)が実施した「ダイオキシン類の挙動に関する共同研究」は、そういう意味で我が国ではたいへん貴重な試みと言えます。これは、試料に用いるごみ質を単純化する(主成分をポリエチレン<PE>にする)など、解析を妨げる要因を最大限除去することにより、初めて実プラント規模での基礎試験を可能にしたもので、昨年の11月18日には、廃棄物学会の「第3回研究会」(北区王子・北とぴあ)でその試験結果が発表され(研究論文「流動床炉におけるダイオキシン類の挙動」)、焼却に携わる関係者の注目を集めました。
論文では、燃焼中に発生する種々の有機塩素化合物の挙動についても解析結果が報告されていますが、塩ビ関係者にとって特に注目されるのは、ダイオキシン類の発生に関して「PVC混入の影響はないと考えられる」と報告されていることです。試験では、PE100%とPVC混入率4%の2つの燃焼条件を設定し、それぞれについてプラントの4カ所(炉出口、電気集塵器<EP>入口、煙突入口、EP灰)から排ガスおよび灰をサンプリングしています。下図は各サンプリングポイントにおけるダイオキシン毒性濃度(等価濃度=I-TEQ)の分析結果を示したものですが、これを見ると、炉の出口から煙突入口まではいずれの条件でも濃度に殆ど差は認められず、EP灰に関してはむしろ塩ビが混入した場合のほうが低くなっています。
研究はまだ最終的なものではなく、報告者は「さらに信頼性の高い研究を推し進め、ダイオキシン生成メカニズムの解明に努める」としていますが、その成果には塩ビ業界からも高い期待が寄せられています。
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