生活の中に定着しているプラスチックは、ごみとしてもかなりの量が出るように思われがちです。しかし、都市ごみの中に含まれるプラスチックの割合は約10%で、これは欧米先進国においてもほぼ同様の傾向が見られます。また、プラスチックごみの中の塩ビの比率は、日本をはじめ各国ともほぼ10分の1で、都市ごみ総量の1%程度となっています。
また、塩ビを燃やすと塩化水素ガスが発生することから、大気汚染や酸性雨の原因になるのではと心配する人もいます。しかし、都市ごみを焼却すると塩ビ製品以外の紙や草木、生ごみ、皮革などからも塩化水素ガスが発生することが確認されています。つまり、塩化水素ガスの発生はごみ全体の問題なのです。現在、日本では都市ごみの7割強が焼却処理されていますが、日本の焼却炉では塩化水素だけでなく窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)などについても排ガス対策が完全に実施されており、焼却炉からの大気汚染は特に心配はされていません。
一方、焼却で発生するダイオキシンについても、都市ごみを焼却する時だけでなく、タバコの煙、炭焼きステーキなどさまざまなものから検出されています。都市ごみの中にも、食塩をはじめの塩素源となるものが数多く含まれており、すべての塩素源が、特定条件の下では、ダイオキシンの発生に何らかのかかわりを持っていると考えられます。塩ビもその塩素源のひとつですが、実験の結果では、塩ビの混入量とダイオキシン類の生成量の間には関連がないことが確認されており、また、ダイオキシンの発生は適切な焼却管理で抑制できることも分かっています。むしろ、焼却設備の構造や操業条件などが関係しており、現在は厚生省によって適切な焼却管理指導が行われています。