9月10日には、フランスのGECOM(本部パリ)で、リサイクルに関する同国の法規制の現状、関係企業の取組の状況などについて話を聞きました。
GECOMは、PVC、PE、PET等の原料メーカー、ミネラルウォーター会社、洗剤メーカーなどプラスチック包装に携わる企業の団体で、広報活動を主な目的とする組織です(1993年にはVALOR PLASTに名称変更の予定)。ミネラルウォーターのボトルとしてPVCを大量に使用しているフランスで、そのリサイクルがどこまで進んでいるのかを知ることは、今回の調査の中でも大きな目的のひとつでした。
フランスでは92年4月に、ガラス、紙、鉄、錫およびプラスチック包装材の75%を10年以内にリサイクルする(焼却を含む)ことなどを定めたリサイクル法案が国会に提出されていますが、一方では、ECの法案に即した排ガス処理なども必要となっています。
こうした状況に対応するため、GECOMではプラスチック包装材のリサイクル対象を、1.ショッピングバッグ等フィルム類、2.ボックス・容器類、3.ボトルの3つに大別し、当面の目標として3.のボトルを中心とした取組が、PVC、PE、PETそれぞれのワーキンググループによって現在進められています(1.については薄物フィルムで取扱が難しいため焼却することとし、2.は将来リサイクルの対象とするが現状では検討中との位置づけ)。
フランスにおけるプラスチックボトルは、プラスチック包装材全体の38%を占めますが、業界では10年以内にその35%をリサイクルする目標で、当面96年までに計4万トン(PVC1万8000トン、PE4000トン、PET3000トン、ミックス品他1万5000トン)のリサイクル達成という計画を立てています。
リサイクルの方法は自治体が責任者となり、業界が回収品の処理に当たる(GECOMは自治体に対して回収方法の指導協力等を行う)というものですが、既に91年の実績で4000トン、また92年見込みでは8000トン(ボトルとして2億本)まで取組が進んでいます。また、この回収作業のために現在約3000個のコンテナが設置されており(93年には5000個に拡大する計画)、回収システムに携わる関係者は約600万人、フランスの全人口の10分の1に達するということです。
● 塩ビ再生品の開発も順調 −靴底、アスファルト充填剤などに利用
一方、回収品の加工についてはGECOMと契約した企業により製品開発が進められていますが、PVCの場合リサイクルが容易という特性もあって、靴底、アスファルトの充填剤、パイプ、床材のバッキング材など二次用途の種類が多く、特に問題はないとのことでした。また、リサイクルに要する費用は、包装材メーカーおよび実需者のすべての対象企業が拠出した基金により賄われていますが、最終的には消費者が負担する仕組みになっています。現在はボトルの回収のみに基金を使用しているため、資金面でも今のところは問題なく対応しているようです。なお、GECOMでは92年からの10年間に必要な資金を24億フラン(約600億円)、うちプラスチック関係で12億万フランと試算しています。
以上のほかにも、PVC産業界が常に環境保護団体と共同で問題解決に臨んできたことなど、フランスのリサイクル事情には、我が国でも今後参考とすべき要素が数多く含まれており、調査団にとっては非常に収穫の多い訪問となりました。