2006年3月 No.56
 

 塩ビを含む建設系混合廃プラのサーマルリサイクル確立へ

  関東建廃協、同和鉱業(株)、塩ビ工業・環境協会が共同モデル事業を実施中

 

    関東建設廃棄物協同組合(関東建廃協)と同和鉱業(株)及び塩ビ工業・環境協会(VEC)の3者は、塩ビ製品を含む建設系混合廃プラスチックのリサイクルモデル事業に取り組んでいます。同和鉱業・岡山工場の自動車シュレッダーダスト(ASR)処理施設を利用して、サーマルリサイクルの技術確立を目指すもので、昨年7月からスタートした取り組みは、本格的な事業化に向けて順調な進展を見せています。  

 

循環型社会構築に大きな利益

  日本における建設系廃棄物の排出量は年間およそ8000万トンに達します。このうち、新築工事から発生する廃棄物は、建設会社による発生抑制と現場分別の取り組みが進んだことから年々減少傾向にあるものの、高度成長期に建設された建物の改修・解体工事から発生する廃棄物(使用済み建材)は、今後さらに増加していくものと見込まれています。
 これらの解体・改修系の建設廃棄物のうち、コンクリート殻や木くずなど主要4品目については、現在、建設リサイクル法に基づいて再利用が進められています.これ以外の塩ビをはじめとする様々なプラスチック建材については、塩ビのパイプや電線被覆材などリサイクルシステムが確立している廃材は、分別や選別されてマテリアルリサイクルされています。しかしながら他のものの多くは混合廃棄物として埋立処分されています。こうした建設系混合廃棄物の排出量は年間約500万トン。うち廃プラスチック類は15%程度(約70万トン)と推定されます。
 建設系混合廃プラスチックは、様々な素材が混ざりあっている上に、汚れも多く、選別してマテリアルリサイクルに回すことは極めて困難ですが、この大量の廃棄物を資源として有効利用する技術が確立できれば、プラスチック業界のみならず、循環型社会の構築という観点で社会全体にとって大きな利益になることが期待されます。

 

事業化へ向けての課題と解決策など検討

  関東建廃協、同和鉱業、VECの3者による共同実験は、こうした課題に対応して、様々な種類の建設系廃プラスチックを混合状態のままサーマルリサイクルする技術を確立しようというものです。
 既に一昨年来、同和鉱業のグループ会社である小坂製錬(株)(秋田県鹿角郡小坂町)の実プラントにおいて一連の技術実証試験が実施されており、技術的には全く問題なく、安定したサーマルリサイクルが可能であることが確認されています(本誌?53参照)。
 昨年7月からスタートしたモデル事業は、この実証試験の結果を踏まえて、今後の本格的事業化に向けた諸課題とその解決策などを明らかにするのが狙いで、具体的には、関東建廃協から提供される建設系混合廃プラスチック(現在、埋立処分されているもの)を、同和鉱業・岡山工場のASR処理施設において継続的にリサイクル処理することにより、実証試験では十分な検討ができなかった事業化に必要な項目(下記)について確認を行ない、サーマルリサイクル可能な社会システムとして完成することを最終目標としています。

 

1年で1200トン処理−モデル事業の検討項目

(1)塩ビ製品を含む多種多様な建設系混合廃プラスチックが処理できること
 建設系混合廃プラスチックは、混合物である上に、解体、新築といった工事の種類あるいは工事の進捗状況によって排出されるものが異なるため、多種多様な成分と性状を有しています。今回のモデル事業では、関東建廃協及びその会員である中間処理会社10数社の全面的な協力のもと、現在埋立処分されている廃プラスチックを多量(約1200トン)、かつ長期(1年間)にわたって効率的な処理を実施して行きます。
(2)実用レベルの処理速度で連続した安定運転ができること
 昨年実施した実証試験を基本にしながら、同和鉱業の優れたリサイクル技術を取り入れた同社の岡山工場において、塩素の含有にも問題なく連続安定処理ができることを確認します。
(3)経済性があり社会システムとしてリサイクルに活用できること
 同和鉱業・岡山工場は、熱回収するサーマル・リサイクル工場であると共に、混合廃プラスチックに含まれる種々の無機化合物成分(ガラス、金属、土石)等も前処理工程で選別し有効利用できる施設となっています。今回のモデル事業を実施する中で、3者が連携してさらにコストダウンの工夫を凝らし、経済性のあるシステムに仕上げて事業化を推進して行きます。

 

◆モデル事業の実施内容

  1. サーマル・リサイクル施設
    同和鉱業株式会社・岡山工場
    (岡山県岡山市海岸通1-3-1 TEL:086-262-1121/ FAX:086-262-1033)
  2. 対象プラスチック廃棄
    現在埋立処分されている塩ビ製品を含む建設系混合廃プラスチックで、関東の中間処理業者10数社より各社約100トンの廃棄物を受入れ、これを処理する。
  3. 実施期間と処理量
    実施期間:2005年7月より2006年7月
    処理量:約100トン/月で、合計約1,200トン
  4. 主な検討項目(本文参照)
  5. 共同実施者
    (1)同和鉱業株式会社
      (東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDXビル)
    (2)関東建設廃棄物協同組合
      (東京都千代田区八丁堀4-2-8 喜地ビル)
    (3)塩ビ工業・環境協会
      (東京都中央区新川1-4-1 住友六甲ビル)

 

経過は順調、問題なくリサイクル可能

  現在までのところ、スタートからほぼ半年が経過した途中段階ながら、上記の各項目についてはほぼ当初の狙い通りの見通しが得られつつあり、塩ビ含有の建設系混合廃プラは、破砕条件さえ整えば、何の問題もなくリサイクル処理できることが分かってきました。
 また、塩ビが含まれているための制約(塩素による影響など)もありません。同和鉱業・岡山工場リサイクル課の岡田美洋課長によれば、「ASR処理を目的とした設備なので塩素分は3%程度で設計している。建設系廃プラスチックの場合はほぼ倍程度の塩素を含んでいるが、混焼率(廃プラスチックとASRの混合割合)30%程度でも、安定した処理ができることが確認できた」と説明しています。
 一方、VECでは、「モデル事業を本年7月まで継続してさらに多くの実績と知見を得ながらより良いリサイクル・システムに仕上げたい。建設系混合廃プラスチックのサーマルリサイクルを事業化することで、廃プラスチックは貴重な資源であり有効活用するという社会的要請に応えるとともに、埋立処分問題の改善にも貢献していく」として、循環型社会形成の一翼を担う今回の試みに大きな期待をかけています。
 モデル事業は今後、破砕問題に加えて収集・輸送条件の最適化、コストダウンの検討などを行い、事業が終了する今年8月以降から、本格的事業化に向けた次なる展開策の検討に入る予定です。

 

◆同和鉱業・岡山工場のASR処理施設とは
 非鉄金属精錬で長い歴史を持つ同和鉱業では、その豊富な技術の蓄積を生かして、環境・リサイクル事業を意欲的に展開しています。自動車リサイクル法の施行に合わせて2005年1月にスタートした自動車シュレッダーダスト(ASR)処理事業は、ASRから金属と熱を回収して100%のサーマルリサイクルを実現するもので、岡山工場はグループの西の拠点として位置づけられます。設備の処理能力は、破砕・選別=約15トン/時間、焼却=約4トン/時間。
 建設系混合廃プラスチックの処理フローの概要は下図のとおり。(1)前処理(破砕、金属回収)したサンプルとASRを混合した原料を、流動床炉(砂を熱媒体とする燃焼炉)に投入→(2)1次燃焼室でプラスチックをガス化→(3)さらに2次燃焼室で完全燃焼→(4)廃熱ボイラーで熱回収、という流れで、回収した熱エネルギーは工場内の熱源として再利用されるほか、場内発電用にも供給されます。塩素を含む排ガスは中和・活性炭で処理されます。

 同和鉱業・岡山工場の設備概要