1995年9月 No.14
 
 

 岡山クリーンワークスの産廃処理事業
   同和鉱業直轄、日本有数の焼却施設部門自然と共存しつつ廃塩ビも安全処理

    今回訪れた『リサイクルの現場』は、非鉄金属の大手・同和鉱業(株)直轄の産廃処理施設・岡山クリーンワークス(岡山県久米郡柵原町吉ケ原1125、電話=0868−62−1346)。月間の処理量およそ1万トンという日本でも有数規模の焼却施設が、山間の自然と共存しながら、塩ビなどの廃プラを含む産廃の安全処理に取り組んでいます。  

四方を囲む深い緑

  岡山市から車でおよそ1時間。中国山地のすそ野を切り開いた谷間の傾斜地に、岡山クリーンワークスの処理工場が建っています。四方を深い緑に囲まれた眺めからは、これまで訪れたどの焼却施設とも異なったのどかな印象を受けますが、米沢理雄(みちお)工場長の説明によれば、「緑が生き生きとしていることが施設の安全性を証明してくれる情報のひとつだ」と言います。

 

■ 20年におよぶ廃棄物処理技術の蓄積

  岡山クリーンワークスは、岡山港に入ってくる船舶の廃油の再利用と同和鉱業の柵原鉱山労働者の職場の確保を目的に、昭和52年に設立された岡山礦油(株)を前身としています。
  同和鉱業の直轄として岡山クリーンワークスに生まれ変わったのは、平成5年7月1日からで、およそ20年にわたって廃棄物処理のキャリアを積み上げてきた岡山礦油を直接の管理下に置くことで、同和鉱業グループの環境リスク管理体制は大きく強化されることとなりました。
  現在、岡山クリーンワークスの営業エリアは、東は東海地方から西は中国地方までと広域にわたっており、処理される廃棄物は3分の1が県内、残りは県外からのもの。営業と収集運搬はグループ企業のテクノクリーン(株)が担当していますが、低コストでしかも安全処理という営業方針が、廃棄物処理に悩む西日本の産業界から多くの信頼を得ていることが分かります。

■ 「システムの要」2号炉

 
  岡山クリーンワークスの焼却システムは、同じく同和鉱業のグループ企業のひとつである同和工営(株)の設計で、1カ月4,000トンの処理能力を持つ1号炉と、6,000トン規模の2号炉、さらに3基のドラム缶炉(廃棄物の付着したドラム缶などを特別処理するための炉)と1基の医療廃棄物専焼炉から成っています。
  このうち、平成3年11月に完成した最新式の2号炉は、システム全体の要とも言えるもので、直径4m×長さ8mの巨大なロータリーキルンと廃液炉、2次燃焼炉を備えた焼却工程、そして安全機能を幾重にも重ね合わせた排ガス処理工程(冷却塔+乾式電気集塵機+1次・2次洗浄塔+ミストコットレル)によって、廃棄物は完全に無害な状態にまで処理されます。また、1号炉も排ガス処理工程以降は2号炉に連結する仕組みになっています。

   

■ 細心の環境対応で自然と共存

 
  ガスの洗浄は水酸化ナトリウムによる湿式洗浄ですが、その排水もクローズド・システムの中で一滴も外に漏れることなく再利用されており、こうした環境に対する細心の配慮が、山間地における施設と自然の共存を可能にしていると言えそうです。

 

■ 廃プラは重要なカロリー源

 
  岡山クリーンワークスで処理される廃棄物は、ほとんどが廃液・廃油、汚泥で占められており、塩ビを含むプラスチック廃棄物は月約15トン、廃プラを含む医療系廃棄物も約20トン程度と決して多くはありません。ただし、廃プラの処理に消極的というわけではなく、むしろ今後の方向としては「より積極的に処理していきたい」と、岡山クリーンワークスの石橋孝道技術管理グループ部長は説明しています。
  「廃液類の多いうちのような施設では、廃プラはカロリー源として特に重要な位置づけにある。今後はそういう位置づけの上で廃プラの処理に積極的に取り組んでいく考えだが、そのことはとりもなおさず熱エネルギーとして廃プラをリサイクルすることにほかならない」(同)。
  現在廃プラ類は、塩ビ製フレコンバッグ、塩ビフィルム、ポリ容器、合成繊維の糸くずなどが主で、これらはドラム缶炉で、缶に付着した内容物を処理する際の熱源として利用しているとのことです。

 

■ 加速する官民連携の動き

 
  ところで、工場から出る焼却灰は瀬戸内の水島にある県の処分場に埋め立てられますが、岡山県においても埋立地の限界という問題は年々深刻度を増してきており、岡山クリーンワークスのような産廃処理業者に対する行政の注目も高まる傾向にあるようです。
  「一般の廃棄物は一般の廃棄物、産廃は産廃といったこれまでの固定的な考え方では、これからのごみ問題は解決しない。埋め立て中心の廃棄物処理は限界に来ており、埋め立てるにしても、その前に可能な限り重量、容積を減らして質的に無害化しておくことが必要だ。我々はそういう面で社会に役立つ企業でありたいと考えており、廃プラを含む一般廃棄物の処理についても自治体と話し合い協力を進めていきたい」(米沢工場長)
  同和鉱業のグループ企業の中には、同和クリーンテックス株式会社(秋田県大館市)のように、市と協力して実際に1カ月約200トンの廃プラを処理しているところもあり、こうした官民連携の流れは今後ますます加速していきそうな気配です。

 

■ 余熱・残渣のリサイクルにも意欲

 
  一方、焼却余熱や焼却灰のリサイクルも、岡山クリーンワークスにとって今後の課題となっています。現在、岡山クリーンワークスでは一部ドラム缶の再利用が進められていますが、熱エネルギーや焼却灰については、「ぜひやりたいがコストの問題などもあってまだ検討中の段階」(米沢工場長)で、今後は再資源化貢献企業としてクリーンジャパンセンターの表彰を受けた同和精鉱株式会社(兵庫県尼崎市)や光和精鉱株式会社(福岡県北九州市)など、グループ企業の技術を参考にしながら、「トータルな技術をもう少し詰めた後、実行に移していきたい」計画。

 

■ グループ企業のモデル技術を生かす

 
  特に光和精鉱は、塩素系廃棄物から塩素を回収・再利用したり、焼却灰をセメント原料にリサイクルしたりといった活動で、「最終処分場いらずの中間処理施設」として高い評価を得ており、そうしたモデル技術が今後の経営に生かされれば、静脈産業としての岡山クリーンワークスの役割はさらに大きなものとなることが期待されます。