2016年8月 No.98
 

軽量でエコ。多彩な特長で話題の塩ビ製仮囲い

(株)三共の「プラットウォール」&「パパっとE3パネル」に見る、塩ビ最新事情

がんの治療に がんの治療に
塩ビ製防音仮囲い「プラットウォール」 屋内用レンタル仮囲い「パパっとE3パネル」
 数ある塩ビ製建設関連資材の中で、最近新たな用途として注目を集めているのが塩ビ製の仮囲い。軽量で施工も簡単、その上環境にもやさしい、といった多彩な特長が評価されて、様々な場面でその活躍が見られるようになっています。日本における塩ビ製仮囲いのパイオニア(株)三共(真田孝範社長/本社大阪市北区)の営業・物流拠点 プラットウォールセンター(埼玉県さいたま市北区)を訪ねて、話題の2製品についてお話を伺いました。

●現場の悩みを解決する「プラットウォール」

プラットウォール
重量は鉄製の半分以下
プラットウォールの構造
三角形を並べたトラス構造が、強度の維持、変形防止、防音性向上を実現。パネルの連結も、隙間を作らず、しっかり固定できる。

 工事現場をぐるりと取り囲む大きな鉄板の壁。街中でもよく見かける風景です。でも、見るからに重そうで倒れてきたら危ないし、設置も大変そう−というわけで登場したのが、塩ビ製仮囲い「プラットウォール」。現場の悩みを解決する新資材として今関係者の関心を集めています。
 「プラットウォール」を開発した(株)三共は、1963年の創業以来、建設現場の足場やその周りを囲うシートなど建設仮設機材の製造・販売・レンタルをメインとしてきた会社ですが、「仮囲いについては、当社でも従来の鉄製のものを扱ってきた。しかし、重くて設置に手間が掛かること、建設作業員の高齢化も進んでいることなどから、長い間軽量化が求められていた」といいます(プラットウォールセンター・渡邊知幸所長の話)。
 そこでヒントになったのが韓国の仮囲い。広告媒体として仮囲いを利用するのが盛んな韓国では、以前から塩ビ製が多く使用されており、同社はこれをモデルに、サイズや強度などを改良した独自規格を作成。2010年から発売を開始しました。


●施工性バツグン。優れた防音性能にも注目

渡邊所長
渡邊所長

 発売以来、「プラットウォール」は公共工事、民間工事、イベント会場の設営など様々な場面で利用が広がっており、2011年の東日本大震災では瓦礫置き場の仮囲いにも使われています。「TVで広告をするような製品ではないので認知が広まりにくいが、展示会やインターネット、専門誌などの媒体を使って地道にPRしてきた効果で、公共事業、民間需要ともに順調な伸びを続けている。基本的には仮設資材なのでレンタル需要が多い」(渡邊所長)
 「プラットウォール」1枚のサイズは幅630mm、高さは2m、3m、4.5mの3タイプがあり、最大の4.5mタイプでも重量は12.2kg(2mタイプで5.4kg)と、鉄製の半分以下。この軽量化により施工性が大幅に改善されました。国土交通省が取り組む「公共工事における新技術活用システム」のデータベース「NETIS」にも、施工性への評価から「プラットウォール」が登録されています(登録番号KK-100047-VR)。
 これ以外にも、「プラットウォール」は多様な特長を備えていますが、中でも注目されるのが、素材特性およびトラス構造の採用から生まれる優れた防音性能。その効果は「防音シート以上」であることが第三者機関の試験で確認されており、防音対策として公共工事の設計仕様書に「PVC仮囲いの使用」を指定している自治体も出てきているとのことです。

■「プラットウォール」の主な特長

@ 従来の鉄製と比べて軽量で作業効率が向上。
A ワイドな630mm幅。一般的な500mm幅に比べて、同じ範囲を囲うのに少ない枚数で済み、施工・費用面で効率的。
B 防音シート以上の防音性があり、近隣への騒音対策に効果的。
C リサイクル材を88%使用
D 使用済み製品は、原料に戻してリサイクルできる。
E 加工性の高い塩ビ素材なので、コーナーや細かな段差など、現場の状況に合わせて様々に加工できる。

●ワン、ツー、スリーでパパっと設置

「パパっとE3パネル」

 一方、塩ビ製仮囲いの第2弾となる「パパっとE3パネル」は、屋内でのレンタル使用を目的に開発されたもので、プラットウォールのユーザーから「これだけ軽いなら内装工事に使えるのでは」という声が出たことが、開発の契機になりました。
 「屋内用仮囲いには一般に石膏ボードが使われるが、設置が難しく専門の業者が必要、カットすると屋内に粉塵がたまる、1回使っただけで産廃として処分しなければならない、といった問題がある。当社では開発に当たっては、こうした現場の悩みを詳しく調査した上で、製品の規格を詰めていった」(渡邊所長)
 「パパっとE3パネル」の発売は2015年。製品名の「E3」は、Easy、Ecology、Economyの3つのEを取ったもので、Easyは言うまでもなく施工性のよさ。軽量鉄骨でフレーム(骨組み)を組まなければならない石膏ボードと違って、フレームとパネルが一体化した「パパっとE3パネル」は、天井高に合わせて高さが調節でき(25mmピッチで2.1mから3mまでスライドする伸縮構造)、誰でも簡単に設置することができます(重量は11.8kg)。

エコマーク認定証
エコマーク認定証

 Ecologyはカット不要のため粉塵やごみが少ないこと。さらに原料となる塩ビの88%がリサイクル材という点もポイントで、今年、その高いリサイクル性が評価されて、公益財団法人 日本環境協会のエコマーク認定商品となっています。そしてEconomy。レンタルで繰り返し使い回しできる「パパっとE3パネル」は、経済的でユーザーの負担を大きく低減します。

●2020年東京五輪に向けての活躍も期待

池田氏
池田氏

 「このほか多用途であることもこの製品の特長のひとつ。当初は工事用の仮囲いとして開発したものだが、最近は事務所の間仕切りや喫煙ルーム、更衣室などに利用する例も増えている。認知度向上が今後の普及の課題だが、一度この商品を使ったり知ったりした人の評価は高い」(本社マーケティング部の池田崇氏)。
 三共の塩ビ製仮囲いは、2020年東京オリンピックに向けた施設建設などでも活躍が期待されます。