2013年9月 No.86
 

塩ビ管・継手の普及・啓発活動
(塩化ビニル管・継手協会)

実証データに基づき「安心して使える塩ビ管」を 強力アピール。
約75自治体を3年掛かりで巡回訪問

説明資料「水道編」
 塩化ビニル管・継手協会では、全国の自治体・事業体を対象に塩ビ管・継手(以下、「塩ビ管」)の普及・啓発活動をスタートさせます。近年、塩ビ管の耐震性や耐久性などに関して新しい実証データが得られていることなどを機に、これらのデータを活用して改めて塩ビ管の普及に弾みをつけたい考え。活動期間は平成25年10月〜27年度末まで。全国約75の自治体訪問を中心に、講習会・研修会開催、資料の作成・配布などの取り組みを展開していく計画です。

●足掛け3年間の長期プロジェクト

RRベンド埋設実験の模様

 塩ビ管は、強度・耐食性・耐震性・耐久性・施工性に優れていることに加え、環境対策・経済性にも大いに効果が見込まれることから、水道管をはじめ、下水道管、農業用及び建築設備用など幅広い分野で使用され、半世紀以上にわたって私たちのライフラインを守り続けてきました。
 近年、塩化ビニル管・継手協会では、そうした塩ビ管の性能を客観的に裏付ける調査・研究活動に取り組んでおり、中でも水道管の耐震性に関しては、東日本大震災の被害実態調査結果<2012年1月>、RRベンド(管路の曲がり部に使用する塩ビ管で、ゴム輪受口タイプのもの)の埋設(加振)実験、離脱防止金具の協会規格化(AS規格)の制定<ともに2012年12月>など、塩ビ耐震管路の信頼性を高める成果が次々に上がってきています。
 また、下水道に関しても、地盤変動に追従、伸縮して大地震に十分な耐震性を発揮する可とう性マンホール継手の推奨、施工後30年経過した管の性能試験による耐久性の確認(管路としての性能にまったく問題なし)などの取り組みが行われています。
 こうした新たなデータ蓄積を踏まえて、自治体・事業体を対象に改めて塩ビ管の有用性をアピールし理解を高めてもらおうというのが、今回の普及啓発活動の目的。水道・下水道及び農水の3分野を重点に、足掛け3年間の長期プロジェクトとなります。

東日本大震災の被害実態調査結果

調査の様子
 塩化ビニル管・継手協会では、東日本大震災に関して上下水道管の被害実態調査を実施しました。このうち水道管については宮城、福島、茨城3県で震度6弱以上を記録した7地域を対象に3回にわたって調査を行った結果(調査管路延長231.4km。(株)ライフライン工学研究所への委託調査)、一部、液状化等地盤変状の激しかった市で耐震金具の未使用による離脱被害が認められたものの、そのいずれも金具を使用していれば防止できた被害と想定されています。(下記資料も参照)

●水道・下水道・農業用水の3分野を重点とした取組み

耐震管路の決め手RR ロング管。
下は離脱防止金具付

 活動の具体的な内容は次のとおり。
【自治体・事業体訪問】 最重点となる活動テーマです。北海道〜九州まで全国を8ブロックに分け、3年間で約75の自治体・事業体を順次訪問(平均して1ブロック3カ所/年)。関係部署の担当者に面会して、協会活動の全般、水道管・下水道管・農業用水管の耐震性や耐久性を説明していきます。
【講習会・研修会開催】 全国簡易水道協議会、管工機材商業連合会、全国管工事業協同組合連合会などの関連団体と連携して、講習会・研修会を開催するほか、自治体・事業体からの講習会・研修会の要望にも随時対応していく計画です。
【資料の作成・配布】 関連官庁・自治体・事業体・団体及び機関に向けて、3点の技術的な資料「水道編」「下水道編」「農水編」を作成して送付します。配布は毎年1回、3年で全国2000〜3000カ所を想定しています。
 今回の活動について、塩化ビニル管・継手協会では「自治体訪問は、協会職員と会員会社の担当者がペアを組み、可能な限り効率的に回っていく。地震に対する備え、社会インフラ老朽化への対応が求められる中、データに基づいた塩ビ管の有用性、耐震性、耐久性を理解してもらい、引続き塩ビ管を使い続けてもらえるようしっかり活動していきたい」と意欲を見せています。

 
<拡大図>   <拡大図>
資料の内容(一部)。左は「水道編」、右が「下水道編」。いずれも耐震性について解説した頁