2009年6月 No.69
 

長靴革命!ファッショナブルな塩ビレインブーツが話題

ユーウツな雨の日も軽やかウォーク。
女性の足元を彩るアキレス(株)の「アマネ」シリーズ

雨音に誘われて…
 建材や農業資材として社会に貢献する塩ビは、一方でファッション性という顔も持っています。戦後の物不足の時代、塩ビ製のベルトやサンダルがオシャレを求める女性たちを飾ったのは知る人ぞ知る話。その塩ビファッションアイテムの中に、いま新たな製品が。巷の話題を集めるアキレス(株)(本社=東京都新宿区)の塩ビレインブーツ「amane/アマネ」シリーズの人気の秘密に迫りました。


●メイド・イン・ジャパンの高品質を追求

 
お話を伺った大木副部長(右)と定方課長

 アキレス社は、シューズをはじめ建設・土木資材やエレクトロニクスなど、プラスチック加工技術をコアとした多彩な製品展開で知られる化学メーカー。同社では、既に30年ほど前から子ども向けの塩ビレインブーツ「トレンチボーイ」を販売していますが、アマネシリーズはオシャレに敏感な“オトナの女性”を対象に開発されたもので、2008年4月に発売されるや、長靴のイメージを覆すファッション・レインブーツとしてたちまち女性の心をキャッチすることとなりました。「はじめは数万円もする高価格なヨーロッパ製のレインブーツが市場に出回ったが、我々はあくまでメイド・イン・ジャパンでヨーロッパ製以上の品質を実現することにチャレンジした。試行錯誤の末、価格も6000円〜8000円台に抑えることができた」(商品企画開発部の大木副部長)
 アマネには、ローヒールとハイヒールの2タイプが揃っていますが、いずれのタイプもデザインの多彩さには眼を瞠るばかり。エナメル調の艶やかな塩ビ素材の下に浮き出すライニング(内側の布地)の柄は、レトロな幾何学模様、雨粒をイメージした水玉模様、レース柄やラメ入りまで華麗かつエレガントで、これなら“雨の日が待ち遠しくなる靴”というコピーも大いに頷けようというものです。

●塩ビは高耐候性の省エネ素材

 アマネを作っているのは栃木県足利市にあるアキレスの足利第1工場。その製造には同社独自の一体成型法(射出成形の一種)と呼ばれる技術が用いられており、わずか40秒足らずで一足のレインブーツを成型することができます。次に、これを冷却して形を固定した後、サイドファスナーの取付部分をカットし、最後にミシンでファスナーを縫いつけて完成となりますが、技術的には、この縫製工程の改良が「最も苦心した部分だった」といいます。
 「ファスナーをどうやって後から縫い付けるかという問題を解決するために、既存のミシンと裁断機を改良して特殊な機能を開発した。これに縫製担当者の技術の上達も加わって、ようやく細身の美しいシルエットが実現ができた」(商品企画開発部第2開発課の定方伸夫課長)。一連の縫製仕上げの技術開発により、同社は平成21年度「栃木県創意工夫功績者表彰」を受賞しています。
 「塩ビは耐候性にすぐれ、摩耗しにくく防滑性も高い。比較的低温で形が定まるので余計な冷却エネルギーも必要としない。少子化時代で子ども向け市場が縮小する中、成人女性向けのレインブーツは大切な成長アイテム。季節に合わせて柄や色を変ながら市場を育てて生きたい」(大木副部長)。