2005年3月 No.52
 
全国に広がる、塩ビ管スピーカー仲間

簡単手作り、驚きの音響効果。塩ビ管の“意外なカルチャー・パワー”

 「安物のコンポじゃ、どうせロクな音はでない」と、あきらめるのはまだ早い。アナタのオーディオ・ライフを塩ビ管が塗り変えます。簡単手作り、目からウロコ。塩ビ管スピーカーが奏でる豊かな音の世界へ、いざ。

 

●飛躍的に高まる音質

 
 塩ビ管スピーカーとは、通常用いるスピーカー・ボックスの代わりに塩ビ管を利用した「共鳴管タイプのスピーカー」の一種。原理的にはパイプオルガンと同じで、塩ビ管の共鳴効果を生かすことによりオーディオ機器の音質を飛躍的に高めることができます。
 塩ビ管スピーカーを考案したのは、千葉県館山市で整骨院を経営する谷古宇賢一さん。
 「以前は木製のスピーカー・ボックスを手作りしていたが、もっと簡単にできるものはないかと思って、たまたまホームセンターで見つけた塩ビ管を試しに使ってみた。初めてその音を聴いたときは、外見からは想像もできない素晴らしさに心底びっくりした」。
 せっかくのアイデアを全国のオーディオ・ファンにも知らせようとホームページに乗せたところ、次第に反響が広がり、平成15年4月にはウェブサイト「集まれ、塩ビ管スピーカー」(http://www5a.biglobe.ne.jp/~tyuuou/enbisp.htm)を開設。現在ではブログ(双方向のウェブサイト)への投稿者も30人近くに増え、日本全国で活発な情報交換が行われています。
 

●バリエーションも多種多彩

 
 塩ビ管スピーカーには、「木材に比べて低価格で加工しやすい」「接着剤を使わないので改造が簡単」など多くのメリットがあるため、壁紙を張って木質感を出したり、メタル風に塗装したりと、アイデア次第でバリエーションも多種多彩。パイプの長さや太さも様々ですが、谷古宇さんが使っているのは長さ2mのリサイクル塩ビ管(REP管)で、直径は65mmと100mmの2種。「パイプを半分に切断し、間にスピーカーユニットを結束機で固定した後、塩ビの継手でつなぎ合わせれば出来上がり」と作り方は至って簡単ですが、ほかにも、パイプ下の開口部に漏斗のホーンを取り付けたり、底に吸音材を充填したり、谷古宇さん独自の改良が加えられています。
 試聴させてもらったジャズ・ボーカルのCDは、中音域の輪郭がくっきりと、低音も豊かに響いて、まさしく高級オーディオ・セットにも劣らぬ音色。
 「CDプレイヤーやスピーカーユニットはごく普通のもので十分。塩ビ管は1mを超えると共鳴現象が出てくるが、長ければ長いほど迫力ある音になる」
 塩ビ管に秘められた驚きのカルチャー・パワー。一聴の価値あり。