2004年3月 No.48
 

 使用済み塩ビ管の「リサイクル拡充システム」始動

  −新たに中間処理拠点を設置。排出事業者の手間を省いてリサイクルの流れを加速−

    塩化ビニル管・継手協会が運営する「使用済み塩ビ管のリサイクルシステム」が拡充されました。使用済み塩ビ管の前処理〜粉砕を行う中間処理拠点を新たに設置したもので、排出事業者の手間を省くことによりリサイクルの流れを加速させるのが狙い。同協会では、関東、東海地区を皮切りに順次、中間処理拠点を全国展開していく計画です。  

 

現行システムの問題点を改善

  使用済み塩ビ管・継手の排出量は年間約3万5,500トンと推定されます。塩化ビニル管・継手協会では、資源の有効利用を進めるため、平成10年12月に全国各地域の塩ビ再生会社10社とリサイクル協力会社契約を結んで使用済み塩ビ管・継手のリサイクルに着手、「リサイクル率80%達成」を目標に、ゼネコンや工事会社などから排出される使用済み製品を再び塩ビ管として利用する“パイプ to パイプ”の取組みを展開してきました。
 平成13年度からは運送会社と契約して、受入拠点のない地域に中間受入場を設置するなど、システムの増強も図っており、現在では協力会社17社21拠点、中間受入場32拠点、合計53拠点と、各県ごとに受入拠点の配置が完了。リサイクル率も48%(平成14年度)と着実な伸びをみせています。
 また、こうした事業の進展に伴って、建設資材リサイクル法基本方針や公共建築協会副産物管理マニュアル、東京都住宅建設リサイクルマニュアル等において協会のシステムの利用が推奨されるなど、各方面から高い評価が寄せられるようになっています。
 しかし一方で、現在のシステムだけでは排出事業者のニーズに十分応えられない問題があることも分かってきました。現行システムでは、排出者が自ら選別、泥落し、切断などの前処理を行ってリサイクルできる状態(協会受入基準適合品)にしてから、最寄りのリサイクル協力会社や中間受入場に持ちこむ仕組みとなっているため、「前処理をする時間や場所がない」「処理費用を払ってでもそのままでリサイクルに出したい」といった排出事業者からの要望が強く、この問題がリサイクル率向上のネックになっていると考えられます。

 

適正な費用で前処理〜粉砕まで

  今回のシステム拡充の取り組みは、こうした問題に対応して、排出事業者に代わって前処理を行う産業廃棄物の中間処理会社を受入拠点として新たに設置することにより、システムの利便性の大幅な向上を図ろうというものです。
 具体的には、塩化ビニル管・継手協会と契約を交わした中間処理会社が、排出事業者から適正な処理費を受け取って、管工事現場や建築解体現場で発生した使用済み塩ビ管・継手を受入れて前処理を行うという作業の流れになっていますが、中間処理会社は処理の内容から次の2つのタイプに分けられます。
  1. 契約中間処理会社
    受け入れた使用済みの塩ビ管・継手からリサイクル可能なものを選別し、協会受入基準に適合するように異物除去・泥落しを行ってリサイクル協力会社または中間受入場に売却する。
  2. 粉砕まで行う契約中間処理会社
    選別・異物除去・泥落しに加えて粉砕まで行い、リサイクル原料粉砕品としてリサイクル協力会社等や、塩化ビニル管・継手協会(会員会社)に売却する。


 また、塩化ビニル管・継手協会は、中間処理会社に対して「塩ビ管・継手リサイクル契約中間処理会社」の看板の提供などを行うほか、ISO14000を取得してゼロエミッションをめざしている大手ゼネコンなどを対象に、パンフレットやホームページ(http://www.ppfa.gr.jp)を通じて情報提供していく役割も担います。

 

 

第1弾は関東、東海地区から

  塩化ビニル管・継手協会では、既に昨年11月、中間処理拠点の第一弾として千葉県市原市の株式会社
メイナン(金子佳憲社長/TEL. 0436−74−3033)、
愛知県半田市の株式会社タツノ開発(森下洋子社長/TEL. 0569−23−0229)の2社と契約を締結しています。
 いずれも粉砕処理まで行うタイプで、このうち(株)タツノ開発は産業廃棄物の収集運搬、中間処理のほか環境関連機器、プラントの製造販売なども行うエコビジネスの総合企業ですが、塩ビ管のリサイクルに携わるのは今回がはじめて。「塩ビ管リサイクルの必要性は今後ますます高くなる」との判断から協会との連携を決定したもので、新たに処理設備を導入するなどして事業への意欲を見せています。
 一方の(株)メイナンは、平成7年の設立以来、廃プラスチックのマテリアルリサイクルを中心に、金属くず、木くずのリサイクルなどを幅広く手がけてきた会社で、別称《リカバリー・プラザ》。塩ビ製品に関しては、塩ビ管のほか塩ビ電線被覆材のリサイクルなどにも取り組んでいます。現在の処理量は塩ビ管で月約30トン。

 協会のリサイクル事業に参加した動機について金子社長は、「廃棄物から有価物を抜いて再生することで循環型社会に貢献する、というのが《リカバリー・プラザ》のモットー。我々が受入窓口になることで、捨てられたり埋め立てられたりする塩ビ管が少しでもなくなるのであれば、それは当社の基本理念に最も適うことだと考えた」と説明しています。
 塩化ビニル管・継手協会では、今後この契約中間処理会社システムを全国的に展開して、平成16年度には7社、平成17年度には16社、最終的には30社程度まで中間処理拠点を拡大していく計画。これにより、前処理の手間で目詰まりを起こしていたリサイクルの流れを加速させ、リサイクル率のさらなる向上をめざします。