2001年6月 No.37
 

 鳥取県西部地震における「塩ビ建材災害廃棄物」をリサイクル

  災害復興へ、塩ビ業界が地元自治体に協力。再生管の原料などに利用、全国初のケース

    塩ビ工業・環境協会(VEC)と塩化ビニル管・継手協会は、昨年10月6日に発生した鳥取県西部地震における塩ビ建材災害廃棄物のマテリアル・リサイクルを、鳥取県および米子市、境港市に協力して実施しました。災害廃棄物の塩ビ建材がリサイクルされるのは全国で初めてのケースで、災害復興の一翼を担う取り組みとして話題を集めました。  

 

全国初の取り組み

  米子市、境港市など県内各地に大きな被害をもたらした鳥取県西部地震(マグニチュード7.3)。一般住宅、公共施設などの損壊件数も多数にのぼり、市中には大量の災害廃棄物が発生しました。
 今回のリサイクルの取り組みは、米子市、境港市が瓦礫、木くず、土砂、金属類、プラスチック類などに分けて一時保管しておいた災害廃棄物のうち、「塩ビ管・継手」 「雨どい」 「波板」 の塩ビ建材3製品を対象に実施したもので、具体的には、両市の一時保管場所に塩ビ業界が設置した 「分別用カゴパレット」 (24台分)に塩ビ製品を回収した後、これを塩ビ管・継手のリサイクル協力会社である金井産業(株)(山口県新南陽市)に搬送。同社で粉砕、加工したリサイクル原料を、塩ビ管・継手メーカーが再生管などの製造に利用する、という手順で作業が進められました。なお、一部は(株)トクヤマ(山口県徳山市)においてセメント原燃料および塩ビ原料として再利用(ケミカル・リサイクル)されました。
 4月11日に米子市内の一時保管場所で行われた搬出作業では、地元のマスコミも大勢訪れ注目を集めました。

 

災害時の塩ビ建材リサイクルに道

  リサイクル性に優れ、再生しても十分な品質が保持できる塩ビは、プラスチックの中で最もマテリアル・リサイクルが進んでいる素材で、今年4月に施行された 「資源有効利用促進法」 では、これまでのリサイクル活動が評価された結果、「ガラス瓶」 「紙」 に続き、プラスチックとしては初めて 「塩ビ管・継手」 が 「特定再利用業種」 に指定されました。また、「指定表示製品」 としても 「塩ビ管」 「窓枠」 「雨どい」 「床材」 「壁紙」 の5品目が指定されており、今後、新たな法制度のもとでさらなるリサイクルの進展が期待されているところです。
 こうした中で実施された今回の取り組みは、

  1. 塩ビ(またはプラスチック)建材災害廃棄物のマテリアル・リサイクルとしては日本初の試みであること
  2. 「資源有効利用促進法」 施行後初の、自治体レベルによる塩ビ建材のマテリアル・リサイクルであること
     

などの点で大きな意味を持つもので、これを契機に災害時に対応した塩ビ建材リサイクルの流れが全国的に広がることも考えられます。

 

 

取り組みスタートまでの経緯

  震災発生直後から、両市では災害廃棄物を市内の一時保管場所に分別して回収していました。そのうち瓦礫を路盤材に、木屑はチップに再生する取り組みを進めていましたが、プラスチック類については適当なリサイクルの方法がないという理由から大半が埋め立て処分に回されていました。
 「そこで我々は、県をはじめ関係自治体を訪れて塩ビ業界が取り組んでいるリサイクルの現状を説明し協力を申し出ました。これに対して、担当者の方々からは 『今後の再資源化の取り組みにもつながる提案で、願ってもないことです』 との積極的な申し入れがあり、また、鳥取県の片山知事からも 『これまで埋め立てるしかなかった廃棄物のリサイクルが進む』 との評価をいただきました」 (VEC関係者)。
 その後、分別用カゴパレットの設置場所や台数など作業手順の打ち合わせを経て、塩ビ建材災害廃棄物のリサイクルは具体化へ向けて一気に動き出すこととなりました。

 

環境意識の高さが原動力に

  「今回の取り組みは自治体の熱意がなければ到底実現し得なかったこと」 と先のVEC関係者は述べています。
 「我々はあくまでそのお手伝いをしたに過ぎない。片山知事をはじめ、米子市の森田市長、境港市の黒見市長と竹本助役、さらには現場で具体的な作業を担当した米子市市民環境部環境課の船越次長と末吉課長補佐、境港市産業環境部清掃センターの阿部所長補佐ら、各位のリサイクルに取り組む姿勢はまさしく称賛に値するものだった」
 なお、塩化ビニル管・継手協会では、平成17年度までに 「リサイクル率80%」 をめざして、全国にリサイクル拠点と中間受入場の体制づくりを進めていますが、この5月に鳥取市(日本通運樺ケ取支店、松江市(日本通運(株)松江支店)に中間受入場を設置しました。
 塩ビ業界は、今回のような取り組みを含め、これからもリデュース、リユース、リサイクルの3Rに積極的に取り組み、循環型社会にふさわしい素材と評価されるよう努めていきます。