2001年3月 No.36
 
斬新!塩ビパイプが神社の鳥居に

絶対腐らず、安くて、きれい。石材・木材に代わるアイディア商品に全国の神社が注目

塩ビパイプで作った鳥居が評判です。開発した(有)中島ビニール加工(茨城県日立市入四間町375/TEL.0294ー59ー0646)の中島政好社長を訪ねて、お話を聞きました。

 

■ 100件以上の出荷実績

 
  3月に行われる大祭礼の賑わいで全国にその名を知られる東金砂神社(茨城県・水府村)。この由緒ある神社の鳥居にも塩ビパイプが使われています。その堂々たる構えは、周囲の木々の緑に鮮やかな朱色を映して森厳な雰囲気を湛え、全く違和感を感じさせません。
 中島社長が塩ビパイプを鳥居に利用するという斬新なアイディアを思いついたのは7年前のこと。
 「村の鎮守様の鳥居が腐ってしまい神主さんから建て替えの相談を受けた時、どうせなら絶対腐らない鳥居を作ろうと考えて塩ビパイプで試作してみたのが始まりだ」。
 塩ビ製の鳥居は、それ以前にも九州の一部で使われた例がありますが、簡易な組み立て式だったため笠木(鳥居上部の横木)の接合部から雨水が入ったりしてうまくいかなかったといいます。
 「当社の鳥居は肉厚のVP管を溶接加工した頑丈な作りで半永久的に持つ。難しかったのは塗装部分で、いろいろな塗料を試した結果、光沢があって仕上がりの美しいビニール製特殊塗料にたどりついた。これだと簡単なメンテナンスだけで15年以上は元の色彩が保てる」
 平成11年に実用新案登録を行って販売を開始してから反響が徐々に広がり始め、出荷実績は茨城県内だけで既に100件以上。最近では九州や近畿、北海道などからも問い合わせが来ており、中島社長は、「昔の村社会が崩れて氏子からの寄付も思うにまかせぬ時代だからこそ、高価な石材や木材に代わる安くて腐らない塩ビ鳥居が受けたのだと思う」と、人気の秘密を分析しています。
 

■ 塩ビならではの加工性

 
  中島ビニール加工は、もともと塩ビを中心とした各種プラスチック製品の加工販売会社ですが、同じパイプでもポリエチレンではなく塩ビパイプを採用したのは、「何といっても加工性が優れているから」です。塩ビ鳥居には、笠木が湾曲したタイプと真っすぐなタイプがありますが、「特に笠木を湾曲させるのは塩ビでなければできない」とのこと。
 彩色は朱色、赤、白木色、茶色など注文に応じて対応が可能で、価格は直径115mmのもので10万円から。建立には同社の社員が数人がかりで作業に当たりますが、最近、専門の作業員なしでも接着剤を使って組み立てられる新型の開発にも成功しており、近々全国展開に入る計画とのこと。