2001年3月 No.36
 

 新段階に入った塩ビ管・継手リサイクル

  リサイクル率80%達成ヘ、体制強化。各県に使用済み製品の中間受入施設を整備

    塩ビ管・継手のリサイクルが新たな段階に入りました。塩化ビニル管・継手協会は平成13年1月に、平成17年度までにマテリアルリサイクル率を80%にする中期目標を達成するため、 「全国各県における中間受入施設の整備」 「バージン管メーカーによる再生管の全国販売開始」 などを柱とする現行リサイクルシステムの強化策を発表。資源循環型社会の構築という時代の要請に応え、世界でもトップ水準の一貫リサイクルシステムの構築を目指します。  

 

“パイプからパイプへ”の理想を追求

  塩ビ管・継手のリサイクルは、市場から回収した使用済み製品(リサイクル材)を粉砕し、ペレット加工した原料を再び塩ビ管として有効利用するもので、“パイプからパイプへ”の理想を追求する取り組みです。
 塩化ビニル管・継手協会(以下、協会)では平成10年12月から、全国各地域の再生加工業者10社の協力を得て本格的なリサイクル事業に着手。2年余を経過した現在では協力会社の数も15社に拡大したほか、用途開発(出口)の面でも、2つの協会規格(AS58「排水用リサイクル硬質塩化ビニル管〈REP-VU管〉」およびAS59「建物排水用リサイクル発泡三層硬質塩化ビニル管〈RF-VP管〉」)を制定し、JIS並みの品質を確保して、積極的に市場導入を進めています。この結果、リサイクル率も現在では40%に達しています。
 その一方、平成12年の第147回通常国会で、循環型社会形成関連の6法が制改定され、特に、資源有効利用促進法(改正リサイクル法)の施行(平成13年4月)に当たっては、硬質塩化ビニル管・継手は、特定再利用業種になる予定で、さらに有効利用が促進されることが期待されます(5頁の特集記事参照)。
 今回の強化策は、こうした社会的要請に応え、塩ビ管・継手のリサイクルのさらなる飛躍を目指して抜本的な見直しを行ったもので、平成17年度までに年間およそ3億円を投じ、排出量3万5,000トン(年間推計)の80%をマテリアルリサイクルすることが基本目標です。

 

ドイツを超える一貫リサイクルシステム

  今回の見直しのポイントは、まず回収システムを整備拡大したことです。現行システムでは使用済み塩ビ管・継手を協力会社(再生加工メーカー)に持ち込む際に遠距離の運搬が必要となる場合が多く、リサイクル材受入量拡大のネックとなっています。このため、塩ビ管・継手のユーザーや協力会社から「もっと近くに受入拠点を設置するべきだ」との強い要望が出ていました。これに対し塩化ビニル管・継手協会は、リサイクル協力会社(15社、18拠点)のない都道府県に新たに中間受入施設(29カ所)を設け、合計47カ所のリサイクル拠点を全国に設置します。
 また、現在、再生製品の製造・販売は主に協力会社が行っているため、再生製品の販売量拡大には限界があります。再生製品の販売を協会自らも行う。リサイクル材の収集運搬・再生製品化・再生製品販売塩ビ管の一貫リサイクルシステムは、環境先進国と言われるドイツでも未だ実施されていない世界トップ水準のシステムとなります。

 

 

協会会員会社が自ら再生管販売へ

 主な強化策は次のとおりです。

  1. 全国各県におけるリサイクル材受入施設の整備
     現在の15社(18拠点)のリサイクル協力会社に加え、新たに協力会社2杜、中間受入施設27カ所を設ける。受入施設は当面、協力会社のない県で先行実施し、本年3月末までに10拠点、9月末までに残り19拠点の設置を目指す。これにより、実質的に各県に受入施設が完備される。
     なお、中間受入施設の管理とリサイクル材運送については、NTTロジスコ社等と委託契約作業を進めている(4頁のレポート参照)。
  2. 有価買入方式(持ち込みリサイクル材の買い上げ)での運用
     リサイクル材(マテリアルリサイクルできない一部廃材を除く)は、本年3月から、中間受入施設またはリサイクル協力会社において有価で買い上げ、以降は有価物として運搬、再生処理する。
  3. 協会会員会社による再生管の全国販売
     昨年11月に発売開始したRF-VP管を拡売する。また、リサイクル協力会社にREP-VU管のOEM生産を委託し、協会会員会社がそれぞれの販売網を通じて全国販売する。
  4. 再生技術と再生製品の開発
     リサイクル率向上のため、異物除去など再生技術の開発と新規再生製品の開発を推進する。

 なお、ユーザーからのリサイクル材の購入と協力会社からのリサイクル原料、OEM再生管の購入および会員会社への販売のため、昨年11月から協会内に「リサイクル品業務室」が新設されています(〒107−0051 東京都港区元赤坂1−5−26東部ビル/TEL03−3470−2251)。

 

都市基盤整備公団とモデル分別解体も

  協会ではこのほか、都市基盤整備公団と共同で、2月から公団団地のモデル分別解体に着手するなど、回収ルートの拡大に力を注いでいます。また、再生製品の普及についても、国土交通省の共通仕様書に折り込むなどして需要の拡大を図っていきます。また、公団が新築する集合住宅での再生管の使用なども視野に入れて「協会が責任をもって需要を確保していく」方針で、塩ビ管・継手のリサイクルは今後大きく広がることが期待されます。