1999年12月 No.31
 

 第8回世界塩ビ会議(ジュネーブ)から

  世界の塩ビ需要は堅調、高まる有用性への評価。26カ国126名が意見交換

    世界の塩ビ関係者が一堂に会して、塩ビと環境問題などについて話し合う第8回世界塩ビ会議(Global Vinyl Conference=GVC)が、去る10月6日〜8日までスイスのジュネーブで開催され、今回も塩素産業の関係者を交えて広範な意見交換が行われました。  

 

フィードストック推進で日欧協力へ

  日本から会議に参加したのは、塩ビ工業・環境協会(VEC)の田代圓副会長(東ソー社長)ら8名。専門委員として、VEC環境委員会より新居委員(三菱化学)および佐々木委員(大洋塩ビ)が参加しました。
 また、今回の会議では、ポーランド、チェコ、ハンガリー、南アフリカ、韓国、タイなど初参加国からの報告もあいつぎ、塩ビ業界の情報ネットワークとしての世界会議の役割が年毎に大きくなっていることを印象づけました。
 各国の報告を総合すると、依然塩ビ忌避の動きが見られるものの、塩ビの需要は欧米、アジアともに上向きで、全体としては塩ビの必要性・有用性への評価が改めて高まっていることをうかがわせました。
 環境問題については、可塑剤などの安全性を実証する試験が各国で進んでいることが報告されたほか、ダイオキシン問題についても、焼却の条件が重要であり、焼却炉が整備されていれば塩ビの焼却は問題ないとの認識で一致。塩ビについては、欧州、アメリカ、カナダ、日本から廃棄物管理を含むリサイクルの状況について報告がありましたが、欧州と日本との間でフィードストック・リサイクル推進の協力が具体化したことも成果のひとつです。

 

医療用塩ビは必要不可欠(ユーザー報告)

  今回の会議の大きな特徴は、塩ビのユーザー業界から塩ビ製品に関する報告が多く寄せられたことです。会議では、医療機器メーカーや販売業界から塩ビの使用についての考えが示されましたが、基本的には、塩ビの有用性と代替リスクの問題から「塩ビの使用を続ける」、または「続けたい」との発言が大半でした。中でも、「現在の医療において塩ビは必要不可欠な素材であり代替は不可能」であることを訴えた医療機器メーカー関係者の発言は、塩ビの有用性を再認識させるユーザーの発言として、参加者の注目を集めました。
 塩ビを推進していく上での広報活動も引き続き各国の重要なテーマとなっています。この問題については、日本、アメリカ、ドイツなどから活動の現状について報告があり、日本からは展示会への出展やマスメディアを活用して、塩ビの有用性、リサイクルなどの環境対策を知らせていくことなどの実施計画について報告しました。
 なお、次回2000年秋の会議は日本の主催でアジア地区で開催される予定です。