1999年6月 No.29
 

一般ごみ焼却施設のダイオキシン対策、一般ごみ焼却施設のダイオキシン対策
改善急ピッチ。年間総排出量を69%削減

 

  厚生省は4月5日付で、一般廃棄物焼却施設の排ガス中のダイオキシン類濃度等に関する調査結果を発表しました。年間総排出量が1,335g(削減率69%)に減少するなど、新ガイドラインによるダイオキシン排出規制は順調に効果を上げているようです。
 
  厚生省は、平成9年1月に「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(新ガイドライン)を策定し、同年12月1日から実際の排出削減対策をスタートしています。
  この新ガイドラインでは、(1)排ガス中のダイオキシン濃度(ダイオキシン濃度及び総量はすべてTEQ換算値)が80ng/Nm
3を超える一般ごみ焼却施設については、緊急対策を行ってそれ以下の施設のみとすること、(2)5年後の平成14年12月からは恒久対策を実施して、定められた基準以下(新設の全連続炉の場合0.1ng/Nm3)の施設のみとすることなどが決められたほか、排ガス中のダイオキシン類濃度について年1回以上の測定義務が課せられるようになりました。また、対策実施によるダイオキシン総排出量の将来予測を、現状(平成9年)の4,300g/年から緊急対策後には2,800g(削減率35%)、5年後には590g(同86%)、さらに20年後には20g(同99.6%)まで削減するとしています。

● 1年間で69%削減

 
  今回発表されたのは、平成10年12月1日時点で稼働中の、市町村が設置する一般ごみ焼却施設1,584カ所のうち1,506カ所(2,244炉)及び事業者設置の290施設について、昨年11月末までに実施された測定結果をまとめたもので、緊急対策の成果と、市町村等による一般廃棄物焼却施設のこの1年間の改善努力を示すものです。
  これによりますと、一般ごみ焼却施設から排出されるダイオキシン類の総量は全国で年間1,335gと、新ガイドラインによるダイオキシン削減対策のスタートから1年間で、スタート時の31%(削減率69%)にまで減少しており、排出規制が予想以上の効果を上げていることが裏付けられました。また、1Nm
3当たりの濃度は、最小値0.00ng、最大値110ng、平均値8.6ng、中央値3.1ngとなっています(各施設のダイオキシン類の濃度分布は下図参照)。

 

●  80ng/Nm3超の施設ほぼゼロに

 
  一方、80ng/Nm3を超える施設については、緊急対策後にまとめられた再測定結果(平成10年9月30日付)でも、114施設のうち89施設が80ng/Nm3以下に改善されるなどの削減効果が示されていましたが、今回の報告ではさらに状況が改善し、休止中で改善工事を実施または予定している2施設を除いて80ng/Nm3を超える施設は全く姿を消した形となっています。
  以上の結果について厚生省では、「市町村においてごみの均質化、燃焼管理の徹底などが進み、平成14年12月から適用される基準に適合させるために施設の改善等を前倒しで実施した結果と考えられる」としていますが、今後の対策の進展に伴い、焼却炉からのダイオキシン削減はさらに順調に進むものと期待されます。