1997年6月 No.21
 

   塩ビ異形押出品 −“創意工夫と技術”が生み出した機能性に富む製品群 

 

  加工性がよく硬軟自在の塩ビは様々に姿を変えて活躍しています。主なところは本欄でも度々ご紹介してきましたが、細かい所に目を転じれば、私たちの生活はまだまだ“塩ビがいっぱい"。
 

●  建材からスポーツ用品まで

 
  異形押出品 −字面だけを見ればちょっとモノモノしい印象を受けるかもしれませんが、要は複雑な形の塩ビ製品と考えれば、当たらずとも遠からず。
  塩ビ製品のうち、塩ビコンパウンド(塩ビ樹脂と添加剤の混合物)を押出成形して製品化したものを押出加工製品と呼びますが(パイプ、波板などが代表)、異形押出品もその一種で、JISの定義では「断面形状が正円、板状以外のもの」。つまり、同じ押出加工製品でも、パイプや波板などと異なって、不定形で複雑な形の製品の総称が異形押出品というわけです。
  主な製品としては、全体の50%を占める建材をはじめ(以前にこの頁で取り上げた塩ビサッシや止水板もそのひとつ)、自動車や家具・家電の部材、ガスケット、木工品、配線ダクト、ガーデンホース、さにらは敷居すべり、カーテンボックス、パイプハンガー、簀の子、網戸、風呂蓋、スポーツ用品(スキー大回転のポールなど)に至るまで、硬質・軟質を含めて幅広く、「メーカー各社の“創意工夫と技術”を土台に生み出された機能性に富んだ製品」として、私たちの生活のあらゆる分野に行き渡っています。

 

●  全需要の85%が塩ビ製品

 
  塩ビの異形押出品が社会に登場したのは、他の塩ビ製品と同様、昭和も半ばを過ぎてから。ただ、広く普及するようになったのは昭和30年代以降のことで、かの懐かしいフラフープブームが起爆剤になったと言われます。「異形押出品はフラフープとともに始まった」というわけで、現在でも新体操の競技種目のひとつとしてその名残を見ることができます。
  昭和53年7月には、製品の品質向上と規格化、社会的評価の高揚などを目的に、加工メーカーを中心に日本異形押出製品工業会が発足。現在、その会員数は約100社を数えます。
  異形押出品の需要は、塩ビ以外のポリスチレン、ポリエチレン製品も含めて約20万トン弱(平成8年で19万3132トン)。その85%を塩ビが占めています。