1996年6月 No.17
 

   塩ビサイディング
   
―優れた特性で家屋を守る外壁材、硬質塩ビの新たな有望株

 

 

  サイディングとは家屋の外壁材のこと。新築家屋はもちろん、リフォーム用にも優れた特性を発揮する塩ビサイディングは、パイプに続く硬質塩ビの有望製品ととして今後の成長が期待されています。
 

●  アメリカではパイプに次ぐマーケット

 
  塩ビサイディングは30年ほど前にアメリカで開発されたもので、その後、施工性の良さなどから需要が急増し、1995年の実績では塩ビの年間総需要467万トンのうち、およそ13%(62万トン)を占める、パイプに次ぐ大きなマーケットに成長しています。
  日本では、窯業系の素材を中心に金属や木材などがサイディングとして利用されていますが、塩ビ製のサイディングは開発が遅れ、10年前に塩化ビニル工業協会と日本異形押出製品工業会が合同委員会を設置して、ようやく市場調査や技術調査が開始されました。
  しかし、建築基準法などの規制により新築家屋での利用が限られることもあり、現在では、関連メーカー30社で組織している「塩ビサイディング研究会」を中心に、新築・リフォーム双方の普及をめざして調査研究やPRが続けられています。
  これまでの国内の施工例には、アメリカから製品を輸入して、北海道、岩手、長野、東京などで主にリフォーム用として一般住宅のほか、ペンションや山小屋に使用されているケースがあり、また、最近では輸入品に代えて自社製造に名乗りを挙げるメーカーも出てきました。

 

●  軽くて長持ち、着色性もバツグン

 
  塩ビサイディングの特長としては、寿命が長く経済的、軽くて施工性が良い、着色性に優れ美しい外観を保つ、寒冷地での凍害に強く、海のそばの塩害などにも耐久性がある、など数多くの点が挙げられます。
  特に、リフォームの場合、5年程度しか持たないモルタルの吹き付け塗装などと比べて、塩ビサイディングは15〜20年と寿命が長く、施工を含めたトータルコストでは遥かに経済的と言われます。
  「いまはまだ研究とPRの段階だが、この良さが理解されれば日本でも塩ビサイディングは必ず普及するはず。塩ビ製品の新しい市場、第2の塩ビ管として大切に育てていきたい」と異形押出製品工業会の柴田康之専務理事。最近はオーストラリアやニュージーランド、カナダなどでも塩ビサイディングの人気が急速に高まっているとのことです。