2020年3月 No.109 

特集 新しい塩ビ製品 PVC Award 2019 受賞作品クローズアップ

ランドポート㈱のエコランタン「キャリー・ザ・サン」

アウトドア、インテリア、防災etc.多様なシーンで活躍するソーラーLEDランタン

写真:心をなごませるほのかな光。ライトの色はウォーム、クールブライト、レインボー(別掲)の3タイプ。
心をなごませるほのかな光。
ライトの色はウォーム、クールブライト、レインボー(別掲)の3タイプ。

 PVC Award 2019の受賞作品特集、最後にご紹介する「キャリー・ザ・サン」は、ランドポート㈱(傳馬綾社長、東京都千代田区)が開発したソーラー充電式のLEDランタン(優秀賞受賞)。丈夫で軽くてコンパクト、しかも防水機能付きだから、いつでもどこでも誰にでも使えて、環境にやさしく、災害時にも役に立つ。携帯用照明の世界に新風を吹き込む画期的製品の魅力に注目!

畳めばわずか1.2cmの厚み

 太陽を持ち歩く。これが「キャリー・ザ・サン」の基本コンセプト。現在市販されている様々なソーラー照明の中でも、使い勝手の良さ、考え抜かれた細部の工夫などの点で、「キャリー・ザ・サン」はワン・アンド・オンリーとも言うべきオリジナリティにあふれています。
 まずはその外観。LEDライトを組み込んだソーラーパネルにPET生地のシェードとベルトを取り付けたシンプルでキュートなデザインに加えて、折り紙のように畳める驚きのコンパクト仕様。サイズはミディアムとスモールの2種類があり、ミディアムの場合、畳んだときの厚みはわずか1.2cmと、ポケットにも収まるハンディサイズ(使用時の寸法は110×110×110mm。スモールは88×88×88mm)。重さも86g(スモール57g)と超軽量です。

写真:スイッチ操作でライトが7色に変化するレインボータイプ
スイッチ操作でライトが7色に変化するレインボータイプ
写真:ベルトを引っ張るだけで、キューブ型のライトに。
ベルトを引っ張るだけで、キューブ型のライトに。

72時間点灯。パネル部分は透明塩ビで保護

 一方、ソーラーの性能は、ミディアムの場合LED10灯(スモールは6灯)で、弱中強の3段階切り替え式。約8時間の充電で72時間点灯を持続します。パネル部分は透明な軟質塩ビでしっかり保護されているので、傷つきにくく、充電時の受光能力を妨げることもありません。
 耐久性については、アメリカ国防総省のMIL規格やJIS規格の落下テストをクリアしているほか、防水防塵の国際規格IP67も取得済み。このほか、充電残量が一目でわかるLEDインジケータ、点灯、点滅、消灯、充電残量の表示をスイッチひとつで切り替えられる簡便さ、吊り下げて使うための透明塩ビのベルト(上の写真)など、ユーザーの使い勝手に配慮した工夫を隅々に見ることができます。

写真:ソーラーパネルは透明塩ビで保護。500回繰返し充電可能
ソーラーパネルは透明塩ビで保護。500回繰返し充電可能

明るすぎずホッとできる光

 「エネルギーを大事にしながら、環境問題を意識させるようなソーラー製品を一般の人々の生活の中に広げたい。そんな思いをずっと持っていました。そこで考えたのが、どこでも、誰でも安全に使えるソーラーライト。これには阪神淡路大震災で光の大切さを体験したことも影響しています」と、開発の動機を説明する傳馬社長。
 開発に当たっては、樹脂の種類や色、樹脂を接合する糊の種類、さらにはソーラーパネルのデザインとバッテリーの容量まで、「何度も何度も試作を繰り返して、仕様を決めていった」とのこと。
 「バッテリーの容量を大きくし過ぎると重くなるので、使いやすさと持続時間とのバランスを繰り返し試験しました。ライトの明るさも、明るすぎずホッとできる光にしています。ソーラーのカバーに塩ビを使ったのは、透明で加工しやく耐候性が強いためですが、性質の異なるPET樹脂と繋ぎ合わせるのにとても苦労しました」

ジャンルの垣根がない商品

 「キャリー・ザ・サン」の発売は2019年5月。ランドポートはもともと、パソコン関係の周辺機器やデジタル系デザイングッズの製造販売などをメインとしてきた会社ですが、「キャリー・ザ・サン」の発売以降はこれ一本に事業を絞り、旺盛な拡販活動を展開しています。
 「インテリアやアウトドア、防災はもちろん、企業のノベルティや記念品、プレゼント、さらには自治体の災害用備蓄品、無電化地域の簡易照明など、この製品の使い途は本当に多種多様。顧客の層も老若男女を問わないし、輸出品としても有望です。ひとつの製品でこれだけジャンルの垣根がなく販路が多岐にわたる商品はめったになく、他の事業まではとても手が回りません」
 優秀賞を受賞したのもナットクのアイデア・エコ商品。今後の躍進に注目です。

写真:傳馬社長
「暗闇は人を不安にし、ストレスを与えます。阪神淡路大震災の時に闇の中の生活を経験したことで、光の大切さを痛感しました」
(傳馬社長)