1992年12月 No3
 

■ 塩ビ卵パックの回収実験始まる−岡山市民生協がテストケースとして協力

  塩ビ卵パックリサイクルワーキンググループは、このほど岡山県の岡山市民生活協同組合(岡山市奉還町、組合員18万人)のご協力により、塩ビ卵パックの回収テストに着手しました。同グループでは、モデル回収システムの構築をめざして、かねてから流通業界に協力を呼びかけていましたが、既に牛乳パックや食品トレーなどの回収で実績を上げている同生協が、「今後のテストケース」としてこの呼び掛けに応じたものです。回収作業は、同生協が経営する4店舗のひとつである東川原店(岡山市東川原)で既に10月からスタートしており、同グループでは作業の状況、消費者の反応などを見ながら、テストの継続期間等を調整していく考えです。
  回収の具体的な仕組みは、まず組合員が家庭でホチキスの針やバーコードラベルなど取り除き洗浄した後、これを東川原店に設置した回収ボックスに投入。回収日は毎週月曜日で、翌火曜日には段ボールに詰めて滋賀県長浜市内の樹脂メーカーの工場に発送され、ここで粉砕されるというシステムになっています。
  東川原店は、来客数が1日平均2000人(日曜日は2700人)、卵の売上は1日平均500パック(特売日には1800パック)という規模で、現在は回収率の向上のため組合員への周知徹底が進められています。「卵パックの回収は初めての試み」という岡山市民生協では、「東川原店でのテストケースの結果を見た後、生協全体で取り組んでいくかどうか検討したい」としていますが、同生協がこうした前向きの姿勢を示している背景には、行政と住民が一体となったリサイクル運動を展開している岡山市の土地柄も大きく影響しているようです。
  なお、塩ビ卵パックリサイクルワーキンググループでは、今回のテストにより経済的・合理的な回収システム構築のための具体的なデータ収集、再生品の検討などを行う計画です。これらのテスト結果についてはまとまり次第、改めて詳細をご報告することとします。

■ 文具メーカーの協力で再生塩ビのボールペン・シャープペンセットを試作

 
 小型減容機「ボトルボーイ」を使った塩ビボトルリサイクル実験の現状については前号(第2号)でもお伝えしまましたが、キンググープではこのほど、使用済みボトルから作られた再生塩ビを原料にボールペンとシャープペンの試作品を開発しました。
  再生塩ビの試作品第1号となったボールペンとシャープペンは、2本でワンセットとなっており、ペン軸の部分に再生塩ビが使用されています。ペンの長さはいずれも11.5cmのミニサイズで、透明の地に黄色とピンクで彩色した親しみの持てるデザイン。これまで計5500セットが製造されており、その一部は「東京国際包装展」や「エコケム′92」、ボトルボーイ試運転見学会などの来場者に配布されました。受け取った方々の反応は概ね好評で、試作段階とはいえ塩ビボトルの再生品でも品質的に安定した製品ができることを確認できたことは、今回の大きな収穫と言えます。
  また、企画・製作に当たっては、再生紙ノートなどリサイクル商品の開発に実績を持つ文具メーカー・極東ノート(株)(本社・大阪府吹田市、佐野俊雄社長)にご協力いただきましたが、同社商品企画課では「塩ビボトルリサイクルのニュースをうちの社員が新聞で見て、何か協力できることはないかと考えてこちらから協議会に働きかけた。性能的にもデザイン的にも全く見劣りのしないものができたと思う。商品化のためにはコストの問題などまだ課題が残されているが、プラスチックのリサイクルは文具メーカーにとっても重要なテーマだと考えているので、今後も塩ビ業界の試みにはできるだけ協力していきたい」と積極的な姿勢を見せています。
 

■ 「ボトルボーイ」5台を増設、醤油メーカー等5社と共同試運転開始

 
 塩ビボトルリサイクルワーキンググループは、10月までに小型減容機「ボトルボーイ」5台を新たに購入し、現在、醤油メーカーなどとの協力で、その運転実験が進めてられています。実験にご協力いただいているのは、醤油メーカーのサンアスベルフーズ(大分市)、ニビシ醤油(福岡市)、イチビキ(名古屋市)、正田醤油(館林市)と、成型メーカーのエンゼル産業(福島市)の5社。同グループでは年内に更に5台の増設を予定しており、極東ノートとの協力で再生品の試作が行われたことと合わせて、塩ビボトルリサイクルの輪は順調な広がりを見せています。
 

■ 向山光雄氏が第1回「リサイクル推進協議会会長賞」を受賞

 
  リサイクル運動の普及・啓蒙機関「リサイクル推進協議会」(会長=近藤次郎日本学術会議会長)は、去る10月23日、第1回目のリサイクル推進功労者表彰式を開催し、通産省等関係省庁の大臣賞、リサイクル推進協議会会長賞など計216件の表彰を行いました。この表彰式は、リサイクルの推進に広く貢献した個人・団体の功績を顕彰するため設けられたもので、塩化ビニル工業協会の推薦を受けた向山光雄氏(前塩化ビニル工業協会会長)にはリサイクル推進協議会会長賞が贈られました。塩ビ業界の関係者がこうした賞の対象となったことで、今後のリサイクル活動にも大いに弾みがつきそうです。